ウシュアイア

アイガー北壁のウシュアイアのレビュー・感想・評価

アイガー北壁(2008年製作の映画)
4.1
ナチス政権下,「殺人の壁」と呼ばれる前人未到のアイガー北壁ルートに挑む,ドイツ人の2人の若者の壮絶な運命を描いた実話に基づく作品。


結末は実話ベースなので,受け入れがたいものがあるが,「ひそかな名作」と言える作品だと思う。

まず,徹底したリアリティに職人魂を感じる。

本格的な登山は経験したことないが,素人目にみても,すごくディテールこだわっていることが分かる。リアリティがあるからこそ登山の過酷さが伝わってくるというものだ。

さらに,主人公の二人が挑戦するにあたって重要になってくるナチス政権下のドイツ,という背景も,時代考証も丁寧になされているようで,報道における当時ならではの事情なども描かれているのも興味深い。

そして,随所にみられるアルプスの映像は,山の恐ろしさを忘れさせ,多くの人が魅了されてしまうアルプスの壮大さと美しさが体現されている。

同じ大自然を舞台にした悲劇でも,『イントゥ・ザ・ワイルド』では
観念的すぎる主人公についていけずげんなりした面もあったが,この作品ほど心を打たれた作品はここ数年ではあまりなかったかもしれない。

<追記>
山を登りをするようになったので、機会があったら観てみたい。
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