福福吉吉

復讐者に憐れみをの福福吉吉のレビュー・感想・評価

復讐者に憐れみを(2002年製作の映画)
4.5
◆あらすじ◆
聴覚障害者のリュウ(シン・ハギュン)は病気の姉を救うために会社社長ドンジン(ソン・ガンホ)の娘を誘拐して身代金を要求する。しかし、その娘はリュウが目を離した間に川に溺れて亡くなってしまう。ドンジンは誘拐犯への復讐を始める。

◆感想◆
聴覚障害者のリュウを軸にストーリーが進んでいき、誘拐発生後にドンジンのストーリーも並行して進み、行き場のない怒りと悲しみにまみれた終盤への流れ込む構成は、観ている側を上手く作品の中に連れていきます。リュウやドンジンの心情が痛いぐらいに伝わってくる描き方は韓国作品ならではだと思います。

リュウは腎臓病の姉の治療のために移植用の腎臓を手に入れようと奔走するのですが、闇組織に騙されて費用を奪われてしまいます。そこで恋人のユンミ(ペ・ドゥナ)のアイデアで身代金誘拐に手を出します。ここまでリュウは踏んだり蹴ったりの状態なのですが、映像としては非常に明るく描かれていて不思議に思いました。

しかし、誘拐したドンジンの娘が亡くなってから、映像が一気にシリアスで緊迫感のあるものに変わっていきます。それまでの映像との落差が大きく、ここから精神的にキツイ映像が続くのですが、リュウとドンジンの怒りと悲しみが心を突き刺してくるので観ることを止められませんでした。

後味の悪さがありながらも良い映画を観た満足感に浸れる作品でした。とても面白かったです。

鑑賞日:2024年3月9日
鑑賞方法:DVD
福福吉吉

福福吉吉