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F/X 引き裂かれたトリック
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『F/X 引き裂かれたトリック』に投稿された感想・評価

芸は身を助ける。


懐かしい86年製サスペンススリラーの佳作。
主演は「カクテル」のブライアン・ブラウン、共演に「ランボー」でスタローンと対決したブライアン・デネヒー。


SFやホラー映画で活躍する特殊効果のスペシャリストであるタイラーは、渋々ながらも司法省からの依頼を受ける。
仕事の内容は、証人保護プログラムの一環で、マフィアのボスを死んだように見せかけて殺し屋から護ると言ったものであった。
無線と空砲を使ったトリックで、見事に仕事をやってのけたタイラーであったが、直後に依頼主から命を狙われる。
何が何だか訳が分からぬまま、逃走する羽目に陥るタイラー。
一方、事件の裏に陰謀の影を見抜いたマッカーシー警部補が捜査に乗り出す。
恋人をも巻きこんでしまったタイラーは、助かるために持ち前の特殊効果テクニックを使って反撃に打って出るのであった。


いかにも80年代な空気感が漂う、教科書通りのサスペンスドラマといった趣向。
CGで何でも可能の現在と違って、世間一般的に特殊メイクなどが認知され始め、映画のウリになるSFXがもてはやされた時代なので、そのテクニックの裏側が味わえる本作は興味深かったことでしょう。
主人公の部屋に貼ってあるポスターが「サンゲリア」やら「悪魔の赤ちゃん」なのも楽しいですね。

しかし、映画としてはかなり作りの荒っぽさが目立ちます。
警部補は明瞭な説得力が皆無なほどカンが良すぎるし、敵となる司法省の連中はマジで頭が悪すぎます。素人のはずのタイラーに遅ればかりとるし、やることなすことがズサン。
筋書き通りに物語を強引に進めようとするものだから、そこかしこが破綻しまくって大変です(苦笑)

それでも、いい加減にテキトーなシナリオにも慣れてくれば、タイラーが特殊効果をうまく使って無双するクライマックスも中々どうして面白いですよ。
「ミッション・インポッシブル/ゴーストプロトコル」みたいなテクニックを使ったかと思うと、特殊効果でも何でもなく相手を転ばしてボコボコにしたり・・・
強力接着剤を用いた最後の切り札なんて、笑っちゃうけれど「なるほど〜」と妙に納得。

皆さん、教訓です。
培ったスキルこそが大切ですよ〜!

それにしても、主人公だけと付き合っているものだとばかり思っていた女優やってる恋人が、他にもプロデューサーや俳優と付き合っていたなんて、そんなところをわざわざリアルにしなくたって良いじゃないですかね〜(苦笑)


セルDVDにて
新聞の見出しに「春の土曜ワイド劇場スペシャル!偽装殺人・狙われた映画業界のトリック!陰謀に秘められた真相を暴け!」なんて書かれそうなサスペンス。

某ミステリ作家オススメ!
…ということで鑑賞しましたが、これは掘り出し物。80年代ならではの“粗さ”が目立つ演出でしたが、それを差し引いても面白い着想でした。

主人公は映画の特殊効果を生業とする男。
素晴らしい技術を持つがゆえに“ある事件”に巻き込まれて追われる身になる…というのが大まかな流れなので、主軸は逃亡劇。副題にある“トリック”に絡むハウダニット物ではありません。

しかし、この逃亡劇がなかなか面白いのです。
主人公が自身の潔白を示すために、特殊メイクや小道具などを駆使するのですが、リモコン操作で血糊を爆発させたり、発煙筒を用いて追跡者を撒いたり…と映画好きには堪らない展開が続くのです。特に車に積まれている××の使い方は…唸るほどに見事でした。

ただ、それでも80年代の作品ですからね。
どうしてもノリが軽薄なのですよ(音楽もシンセ音バリバリ)。特にヒロインの扱いは…余りにも可哀想。というか、彼女がヒロインなのかどうか…という部分からして疑問です。

また、その他のキャラクタも無色透明に近く。
主人公ですら「彼がどんな人物だったのか?」と鑑賞後に問われても困るほど。あえて言うならば…白いブリーフ姿が印象に残っているくらいですかね。マダム層に向けたアピールはバッチリでした。

そんな登場人物の中で。
唯一、活き活きとしていたのは《レオ刑事》。
同僚を殴るわ、部下にキスをするわ、上司のバッジを盗むわ…とやりたい放題でした。そんな彼を演じたのは『ランボー』で保安官役だったブライアン・デネヒー。納得の配役ですね。

まあ、そんなわけで。
傑作とまでは言い難いが、見逃すのは惜しい作品。低予算でもアイディアひとつで面白い物語が作れる…という好例ですね。80年代の緩さを承知の上で鑑賞すれば楽しめると思います。
SYU

SYUの感想・評価

4.0
2022/11/03
監督 ロバート・マンデル
ブライアン・ブラウン
ブライアン・デネヒー

"見破れるか?このトリック"

殺人事件の証人を暗殺から守る為に、殺人の偽装を依頼された一流のSFXマンである主人公が、事件の裏に潜む陰謀に巻き込まれ、生命を狙われていく様を描くサスペンススリラー。

B・デネヒーでもう一本。

今ではCGに代わり久しい特撮技術も、SFXという名で呼ばれていた懐かしい時代。

本作はそんなSFXの技術者が、得意のトリックを使って危機を脱していくというなかなか面白い作品でした、今見れば特撮技術もチープに見えるかもしれませんが、それもまた味がある感じで好きでした。

主人公を追う刑事を演じたB・デネヒー、この頃様々な作品に出ていて、なんか渋くてカッコいい、大好きな役者さんでした。

二転三転する展開、ラストも楽しめる秀作スリラーです。

鑑賞日1987年頃 VHSにて

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