涙

細雪 ささめゆきの涙のレビュー・感想・評価

細雪 ささめゆき(1983年製作の映画)
3.9
#細雪
絢爛な着物に目が癒されました。着物とそれを着た女優に焦点が合うように彩られた風景は日本の美しさを改めて体感できた。
この作品ではそれぞれ違う意思も持って動き回る四姉妹が、結婚や家柄の厳格さに戸惑う妹2人とそれをどうにか処理しようとあたふたする姉2人のお話。四姉妹が戸惑ってしまうものは日本人特有の厳かな格式と、家族や友人に注がれる愛とは別に『恩』で強く結ばれている日本人の精神。その格式と精神に私は敬いはするが少し疑念を抱いてしまう。彼女達も私と同じように一度疑いはするが、限りなく重んじて彼女達なりに受け入れる。そこに日本人の美徳があってとても感心した。
所々にハッとさせらるシーンが多くあって、例えば妙子が雪子の爪を切っている場面。貞之助が襖を開け、生脚をさらす妙子を見て、申し訳なさそうに目線を逸らす。雪子がゆっくり着物の裾で足を隠すその仕草にグッとくるものがあります。雪子演じる吉永小百合さんの何処からか醸し出される艶ぽい感じは見惚れちゃいました。
涙