詐欺師の男と小生意気な少女のロードムービー。
偽の親子を演じながら、人々を騙して稼いで行く。
反発しあいながらも、お互いを見捨てられない。
哀しくも温かい物語だ。
何と言っても、史上最年少でアカデミー賞を獲得したテイタム・オニールの演技は必見。
可愛げはないが、どこか妙に惹かれる孤児を、サラリと自然に演じているところが見事だ。
わずか9歳の子供がタバコを吸うシーンでさえ、違和感も嫌味もなかった。
強がっているけど、誰よりも父親の愛情に飢えていたはず。
いや、もしかしたら母親からも真の愛情を受けていなかったのかもしれない。
そんな寂しい少女の背景が、彼女の澄んだ瞳の中に見えた気がする。
モノクロ映像だったので、瞳の色はわからなかったが、きっと綺麗なブルーなんだろうなって想像出来た。
“作り物の紙の月でも
私を信じてくれれば
それはきっと本物になる”
大切なのは “みてくれ” じゃない。
たとえそれが安っぽくて薄汚れた偽物でも、そこに愛を信じる心があれば、いつかきっと輝くはずだ。
離れたくない、離れられない。
心がそう叫ぶなら、きっとそれが真実なんだろう。
二人の旅は、今始まったばかり。
道はどこまでも真っ直ぐ続いている。