キラリ

高校教師のキラリのレビュー・感想・評価

高校教師(1993年製作の映画)
3.5
“たとえば僕が死んだら”

ドラマ『高校教師』(93年)が、史上最高に好きなドラマなのだけれど、映画版はドラマほどの完成度の高さはないものの、これはこれで結構好き。全体とおして、今の時代では確実に大炎上な内容で、野島ワールド全開。この独特な世界観がたまらなく好きなのです。

ドラマも映画も冒頭のシーンは似ていて、あることがきっかけに女子高生の繭がとある教師に惹かれ、学校からの帰り道に教師の後をつけるのだが、映画版は・・・

冒頭こそ似ているけれど、その後の展開は映画とドラマとではまるで異なる。ドラマは真田広之演じる羽村先生が繊細で柔和な生物教師であったのに対し、映画の唐沢寿明演じる羽野先生は暴力的で野性味あふれる保健体育教師。このコントラストが、また良い。劇中では、遠山景織子演じる繭と羽野先生が二人だけの世界に溺れていく。ドラマ以上に映画は、全体的にとにかく狂っている。特に、狂気と妖艶さを兼ね備えた音楽教師の狂い具合は、ある意味最高でインパクト大。

終始不幸のオンパレードで、いろんな問題をとにかく詰め込みまくった内容には突っ込みどころがあるが、90年代野島ワールドはこれくらいぶっとんでいてほしい。最後の最後まで過激でインモラルなワールド全開で90年代の野島伸司作品ファンの私としては満足のいく仕上がりだった。ドラマ同様に映画も哀愁漂う森田童子の音楽がとんでもなくマッチしている。
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