⚪概要とあらすじ
『ザ・セル』のターセム監督が製作した、美しい美術品のような感動巨編。
左腕を骨折して入院中の5歳の少女アレクサンドリア(カティンカ・ウンタール)は、脚を骨折してベッドに横たわる青年ロイ(リー・ペイス)と出会う。彼は彼女にアレキサンダー大王の物語を聞かせ、翌日も病室に来るようささやく。再びアレクサンドリアがロイのもとを訪れると、彼は総督と6人の男たちが織り成す壮大な叙事詩を語り始める。
⚪キャッチコピーとセリフ
“君にささげる、世界に たったひとつの 作り話。”
「ありがとうどうもありがとう」
⚪感想
ファンタジー作品。
平均スコア4.0だけど期待しすぎるといつも失敗するからつまんなくてもいいやぐらいの気持ちで観たけどめちゃくちゃ素敵な作品だった。
世界観と映像美に圧倒されるけど何より内容が良かった。
CGに頼らず世界遺産を含む世界24か国以上で撮影されたらしい。本当にあんなゲームだったり、だまし絵、絵画みたいな場所があるのかとびっくり。
ファンタジー作品とはしたけどフランス映画のようなゴリゴリのファンタジーではない。架空の物語が映像化されているっていう部分で当てはまるかなといった感じ。
主にスタントマンの青年が少女に語る虚構の物語が中心に描かれる。
その虚構の物語が現実の世界と深い繋がりを成していて楽しめる。
物語の創造者ロイを演じた青年役リー・ペイスがかっこいい。少し濃いめの顔だけど美形。
アレクサンドリアを演じたカティンカ・ウンタールは今作が映画初出演とか。
演技力と5歳だけどちょっと大人びているところもあるのが現実的だと思った。
虚構の物語に登場したダーウィンが好き。
鳥の羽なのか蝶の模様なのか分からないけど服がふわふわでオシャレだし、お供のお猿さんも可愛かった。
衣装デザインは石岡瑛子さんが担当していたそう。『白雪姫と鏡の女王』の時もそうだけどそこそこ奇抜で印象に残る衣装デザインなんだけど自然に物語に溶け込む。
スタントマンはもっと賞賛されてもいいのではと思ってしまった。
断片的な映画に一瞬思えるけど見ていくうちに繋がってるいくのが不思議で面白かった。
⚪以下ネタバレ
ロイは物語を構築して、映像はアレクサンドリアが構築していたのではないかと思った。
敵の服装がアレクサンドリアが恐怖の対象としていたレントゲン室に入る時の服だったり、インド人がアレクサンドリアがオレンジを収穫する場所の関係者だったし。
ロイのアレクサンドリアを利用するための虚構の物語がいつかは彼自信の夢や生きる希望になるのが響いた。
ロイが薬を求めているところで「自殺願望」があることは分かるし、アレクサンドリアに薬を盗ませたから朝起きて死んだってなった時は信じちゃった。入れ歯の優しいおじさんが死んでしまったのは悲しいけど、薬は実は砂糖にしてあったっていうのがね。暴れ出すロイが切なかった。
現実の世界の登場人物が虚構の物語の登場人物で出演していたり、敵の部下たちがレントゲン室にはいる時の人の格好だったり、恋人が持っていたハートのロケットペンダントが登場したり、虚構の世界の蝶々が現実世界に現れたり。
ロイが物語の語り手であり、物語の主人公であり、物語ではカティンカ(アレクサンドリア)の父親となる。
総督を恨むものたち。奴隷にされた、家族を失った、周囲との交流を失ったなど。それぞれの復讐の思いと得意なこと、見た目の違いが分かりやすかった。
みんなかなり個性的なのにみんなでいるとまとまっていてドラゴンクエストかのような安心感がある。
最後の方のスタントマン集のインパクト。少しでもズレたりすれば命の危機であるようなシーンばっかり。それでもスタントマンは主役ではなくて、主役を支える影の役者なのちょっと寂しい。
⚪以下ストーリー
無声映画のスタントマンを務めていたロイは、撮影で橋から飛び降り大怪我を負う。さらには、主演俳優に恋人を奪われてしまう。時を同じくしてオレンジを収穫中に落下で腕の骨を折ってしまったアレクサンドリア。アレクサンドリアが看護師に渡したはずの手紙がロイに届いたことで2人は仲良くなる。ロイは自殺の手伝いをアレクサンドリアにさせるため虚構の物語を語ることでアレクサンドリアを操ろうとする。自殺は失敗するがアレクサンドリアの思いによってロイは自殺をやめる。アレクサンドリアの退院後はロイとは会えなくなってしまったが映画でロイの活躍を見ることができた。
⚪鑑賞
映画天国で鑑賞(字幕)。
⚪パンフレット所持