さりさり

落下の王国のさりさりのレビュー・感想・評価

落下の王国(2006年製作の映画)
4.1
フォロイーさんたちが揃って高スコアをつけているこの作品。
気になって検索してみたところ、監督は鬼才ターセム・シンだということがわかる。
鬼才と呼ばれる人はどんな映像を撮るのだろう。
興味が湧いて観てみた。

*****

自殺願望のある男が、自ら創作した物語を、純粋無垢な少女に聞かせる。
勇者たちが繰り広げる壮大な冒険活劇だ。
少女は物語に夢中になる。

創作物語の映像化は言葉を失うほど美しい。
もちろんCGなどではない。
24カ国もの国で撮影された迫力ある生の映像。
素晴らしい世界遺産。
その貴重映像に心を奪われた。

しかし、美しさの中に潜む闇。
物語はやがて絶望へと落下する…。

*****

“鬼才” とは「人間とは思えない才能」という意味らしい。
でもこの映画に関しては、鬼才という言葉は合わないと思ったな。
なぜなら、この映画に出て来る登場人物たちに、とても人間らしさを感じたから。
終盤、あのモノクロ映像を見つめる人々の、熱い眼差しが忘れられない。
あのシーンには「映画が大好き、人間が大好き」という監督の想いが溢れている。
実に温かく、幸せを感じるシーンだ。

人生に絶望した男と、心に傷を持つ純粋な少女。
二人が綴った優しい物語に拍手を贈りたい。
さりさり

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