この映画「サイコ2」は、アメリカ映画史上に残るスリラーの傑作「サイコ」の続篇。
あの映画で、"サイコ"という言葉を一般通用語にまで広げた犯人役をアンソニー・パーキンスが演じています。
彼が、精神病院に入院させられるところで「サイコ」は終わったのですが、現実の時の流れと同じ22年後、彼が精神病院を出て来るところから、この続篇は始まります。
あの淋しいモーテルに帰って来た、アンソニー・パーキンス扮するノーマン・ベイツが、何をするのか?
続篇の興味は、ここに集中します。
彼にまといつくヴェラ・マイルズ。
「サイコ」で殺されたジャネット・リーの妹役で、前作でも謎を追って、彼の正体を暴く役でした。
姉を殺された恨みは、22年たっても消えるはずはなく、パーキンスの釈放に徹底して反対するのです。
加えて、素性の不明な若い女性や精神科医が入り乱れて、再び恐ろしい連続殺人が展開していくのです。
パーキンスが、またもや罪を犯しているのか、それとも真犯人は別にいるのか?
「サイコ」の続篇を作りたいとの願望を込めて、3本の脚本が書かれ、その中から選ばれたというだけに、真犯人登場のトリックは、なかなかのものです。
この映画の監督は、リチャード・フランクリン。
アルフレッド・ヒッチコック監督に学んだ事を誇りとし、ヒッチコックへの愛をたっぷり込めて演出しているので、あちこちにヒッチコック・タッチの再現が見られて、嬉しいですね。
しかし、何よりもこの映画で心に残るのは、22年という歳月の流れ。
それは主人公のアンソニー・パーキンスやヴェラ・マイルズの表情からも読みとる事が出来るのですが、なかでもショック表現の差に、そのことが歴然と表れているんですね。
ヒッチコックを信奉しながらも、自然に表れるリチャード・フランクリン監督のショック演出の違い。
この映画の冒頭で、「サイコ」の史上名高いシャワー殺人が出て来ますが、この殺しと最後のクライマックスでの殺しは、形は似ていても、血や凶器への感覚は、全く別物なんですね。
22年の歳月、我々の感覚がどう移っているのか。
より強い刺激を求めているという事実を思い知らされて、ゾッとするのです。