トシオ88

ブラックブックのトシオ88のレビュー・感想・評価

ブラックブック(2006年製作の映画)
3.8
ポール・バーホーベン監督が母国オランダ🇳🇱に戻り監督した作品。第二次世界大戦末期、オランダに隠れ住んでいた一人のユダヤ人女性の波乱に満ちたストーリー。実話に着想を得たと冒頭コメントがあるが、こんな地獄のような波乱のある人生、果たして耐えられるだろうか😨

オランダ郊外の隠れ家がB17に誤爆されてから、ヒロインの果てしない逃亡と叛逆の話は始まる。全編を通じてバーホーベン監督らしい血と暴力と汚物と裸にまみれたハードなストーリーが展開するが、途中、主人公を陥れた陰謀を巡るドンデン返しなどあり、ストーリーテラーの監督らしい娯楽色も盛り込まれる。

監督本人が大戦当時の爆撃後の街並みに横たわる死体やナチに協力した人々への私刑なども自ら目撃、体験している為か、ハリウッド作品では描かれないダークな戦勝者側からの演出も目につく。

愛する人たちを次々と亡くし「いつまでこの悲しみの連鎖は続くの!」とヒロインは絶叫するが、漸く戦後イスラエル🇮🇱に入植して平和を得る…
しかしその入植地も第二次中東戦争(スエズ動乱)の舞台となっていく…

途中サスペンス映画ばりに二転三転もあり2時間を超える内容だが、監督の剛腕で飽きさせない。でも最後、またヒロインが戦火に巻き込まれていくのを暗喩するシーンは、流石にやるせなかった😢
トシオ88

トシオ88