わたがし

アバター<特別編>のわたがしのレビュー・感想・評価

アバター<特別編>(2010年製作の映画)
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 特別編よりも更に長いエクステンデット版、ふと思い立って夜中にめっちゃ久しぶりに通しで観た。感情に呑まれるあっという間の3時間弱。何度もいろんなシーン掻い摘んで10年間触れ続けてきた映画だけど、やっぱり最高にエモくて最高に大好きな映画。
 14歳の時、映画館慣れした今の何倍も大きく感じられる巨大なスクリーンで、赤縁のクソダサくて重い3D眼鏡かけて観たあの時の『アバター』が蘇る。生まれたての赤ん坊が初めて世界の美しさに触れたような感覚、最後の最後でバカデカい「AVATAR」の文字が白い煙と緑白い光と共に浮かんできたときの「とんでもないものを観ちまった」感。10年前の手汗がまだ今の薄汚れた手のひらに残っているような気がする。「俺もこんな世界をゼロから創りだせたらなあ」と思った瞬間。泣けてくるよなあ
 序盤のカラフルな地球のシーンでのジェイクの気持ち、マジで痛いほどわかるし、これがあるからこそクライマックス直前の戦いを決意する表情がより鮮明に感情的に理解できる。他に劇場公開版から追加されたシーンのどれをとっても、より深く感情のストーリーラインを追える補助の役割を果たしてるんだよなあ。劇場公開版しか観てない人間捕まえて「お前は本当のアバターを知らねえ!!」とかマウントとる気はないけど、自分の中でこのエクステンデット版こそが完成されたアバターだと思う。
 そしてあらためて言うことでもないのかもしれんけど、1ショット1ショットの途方もない美しさ。その美しさは「わざわざ山奥の未開の地の自然をカメラで頑張って切り取りました」から来るものではなく「全部人間がコンピューターでゼロから創りました」から来るもの。こんな贅沢な3時間ある?現象や事実を記録するのではなく、人間の記憶や情景を記憶する映画という装置のゴールはここだと感じずにはいられない。やっぱり最高の映画だよ
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