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オーディションのcocoのネタバレレビュー・内容・結末

オーディション(2000年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

勉強中のホラー映画流し見として鑑賞。
でも面白くて引き込まれた。

石橋凌は結局ひどい目に遭うんだけど、「ひどい目にあってもしかたない」に至るまでの道筋がしっかりしていて見やすかった。
國村隼もそうだし、斉木しげるや松田みゆき、石橋蓮司、根岸季衣に光石研て名優ぞろいで見応えがある。

「オーディション」という形式でハッキリする非対称性、
女を軽んじながら女を求め、女を選別しながら女に愛されたいと思っているおじさんのどうしようもなさがよく伝わってくる。
石橋凌と國村隼は同じくらいクソなんだけど、一方で國村隼は石橋凌を友人として大切に思っていて、
「心無いおじさん」ではないってことも窺える。
石橋凌は妻に先立たれたあと男手一つで息子を育てているということでは補えないくらいクソなので、ちゃんとひどい目に遭う。

選ぶおじさんと選ばれる女性っていう非対称性がなくならないのは、「社会制度」ってことだけではなくて、「金銭」「恋愛」「さみしさ」「軽蔑」「性欲」なんかが渾然一体となっていて、言語化や認識の共有が難しいってこともあるんだろうな。
女に惹かれているつもりで関わっていても、石橋凌にとって女は自分の期待通りのことを話す存在でしかない。
だから自分が想像もしていなかった一面を知ったとき、突然女を怪物のように恐れ始める。
この映画では女はしっかり怪物だから、恐れるのも無理はないけど。
しかし、自分を選別しようとする相手にここまで出来たら女も苦労しないよね。
現実には全く逆で、搾取された挙句身動き取れなくなって、理不尽な理由で殺されるのは圧倒的に女が多い。
痛めつけられて片足を失っている石橋凌はおとこだけど、女の哀れを思ってしまった。
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