半兵衛

暗黒の恐怖の半兵衛のレビュー・感想・評価

暗黒の恐怖(1950年製作の映画)
3.9
さすがに今見直すと感染症対策のやり方などが結構杜撰だけれど、それでも殺された死体のなかにペストが発見され捜査関係者のあいだに緊張感が走っていく様子が巧く描かれているので古さは感じない。そして主役の医務官をウィドマークが演じることでハリウッド映画らしい娯楽としての明るさが無くなり、カザン監督のセミドキュメンタリータッチの作風にリアリティと緊迫感をもたらしている。

そしてこの作品は相棒ものとしての側面もあったりする、ペストの感染状態を探って死者や感染の拡大を防がんとする医務官と殺人事件の犯人を挙げようとする刑事、当初はお互いの目的が違いキャラクターも違うため距離があった二人が事件に深入りしていくうちに徐々にお互いの人間性に触れて仲良くなっていくのがテンプレではあるが熱い。

病原菌のことを隠して捜査したため犯人側が事態を勝手に解釈して自滅していく展開がある意味斬新、でもそれによりジャック・パランスのクレイジーな悪党ぶりが輝いているのも事実。

ウィドマークと子供のやりとりが微笑ましくて息抜きになる、あとラストの刑事と医務官のやりとりも日常に戻ってきたテイストが強くて締めにぴったり。

後半の倉庫での犯人対刑事のロケーションを活用したダイナミックなアクションも見ごたえ十分。
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