吉本ばななの原作は遠い昔に読んだかもしれないが記憶には残っていない。映画は今回が初見(…だと思う)。
牧瀬里穂がJR東海のクリスマス・エクスプレスのCMに起用されたのが1989年で、本作はその翌年に公開されたようだ。
CMの時よりややふっくらしているように思えたが、それよりも当時清純派で通っていた彼女がこんなやんちゃで粗暴な役を演じていたとは知らず、ちょっと驚いた。反面、身体が弱く時折死を意識した時に見せる思い詰めた表情もなかなかよかった。
自分に正直に生きていて、そっと応援したくなる。
まあ、彼女の存在は私の青春時代の大事な思い出の一部でもあるので、悪い評価になることはないのだが。
共演した中嶋朋子はさすがに安定の演技で何の不安もなかった。つぐみの姉役の白島靖代もやはり美人だが、つぐみとは正反対に穏和で、2人と比べてちょっとばかり大人の雰囲気があるのもよかった。
西伊豆の旅館という、何だか時がゆったりと流れていて、急かされることのないような感じがいい。ロケーションは全く違うのだが、何処となく郷里を懐かしく思い起こしているような感覚になり、見ていて心地よかった。
特別名作という訳ではないが、心に留まる一作。
