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レッド・ドラゴンのkuuのレビュー・感想・評価

レッド・ドラゴン(2002年製作の映画)
3.8
『レッド・ドラゴン』
原題 Red Dragon
製作年 2002年。上映時間 125分。
劇場公開日 2003年2月8日
トマス・ハリスが『羊たちの沈黙』の前に書いた同名小説を映画化。
レクター博士役は前2作と同じアンソニー・ホプキンス。 
脚本は『羊たちの沈黙と同じテッド・タリー。 監督はブレット・ラトナー。

FBI捜査官グレアムはレクターを逮捕した後、引退していたが、一家全員を惨殺し、眼球に鏡の破片を突き刺す猟奇殺人事件が発生、元上司に捜査への協力を求められて、獄中のレクターに会いに行く。

   傷だらけの赤い龍 -紅中-
    『レッド・ドラゴン』を鑑賞して
      作詩:KUUことGEORGE

I. 殺人鬼の影
闇夜の奥底、蠢く赤い龍
その鱗は、過去の傷跡
幼き魂、歪んだ鏡に映る
愛情を求め、虚無の叫び

II. 狂気の炎
燃え盛る炎、狂気に染まる瞳
無垢な命、血に染まる
月の光、惨劇を照らす
静寂に響く、絶望の調べ

III. 苦痛の舞踏
赤い龍、苦痛の舞踏
魂の叫び、闇に消えていく
それでも、希望の光は消えない
彼岸花、静かに語りかける

IV. 救いの手
愛と優しさ、救いの手を差し伸べ
傷だらけの龍、再び羽ばたく

V. 血の朝焼け
暁の空、血の色に染まる
新たな旅立ち、龍は行く

VI. 希望を求めて
傷跡は消えない、それでも
赤い龍、希望の光を求めて

VII. 殺人鬼の影
深紅の瞳、狂気を宿す
殺人鬼、闇に潜む
無垢な命、次なる標的
恐怖の連鎖、再び始まる

VIII. 葛藤の刃
正義と狂気、せめぎ合う心
葛藤の刃、自らに向け
それでも、彼は戦う
殺人鬼の影、追い続ける

IX. 贖罪の道
血に染まった過去、背負い続ける
贖罪の道、果てしなく
それでも、彼は歩み続ける
希望の光、見失わずに

X. 真実の対峙
赤い龍と殺人鬼、運命の対峙
真実の刃、ついに突き刺さる
狂気の終焉、新たな始まり
傷だらけの龍、新たな翼を得る

XI. 再びの旅立ち
暁の空、希望の色に染まる
傷跡を抱き、龍は飛び立つ
新たな世界へ、希望を胸に
傷だらけの赤い龍、永遠に


お粗末な詩から始めましたが、今作品の原作者トマス・ハリスは『羊たちの沈黙』の前にこの物語を書いている。
映画『羊たちの沈黙』シリーズの公開日で観ると(『刑事グラハム/凍りついた欲望』は別として)、『羊たちの沈黙』→『ハンニバル』→『レッド・ドラゴン』→『ハンニバル・ライジング』。
だが、時系列でこのシリーズを書くなら、『ハンニバル・ライジング』(舞台設定:1944年~1952年)の後、『レッド・ドラゴン』(舞台設定:1980年~1983年)となり、『羊たちの沈黙』(舞台設定:1991年)、『ハンニバル』(舞台設定:2001年)と続く。
その後を描くサスペンスドラマ『クラリス』やマッツ・ミケルセンのは置いといて。
んで、その『羊たちの沈黙』の前日譚に位置する今作品『レッド・ドラゴン』。
『羊たちの沈黙』よりレクター博士は明らかに髪の毛が薄くなってるし、時系列がこんがらがる笑。
扨、その今作品は、個人的にジョナサン・デミ監督のオリジナル作品に匹敵するほどの出来栄えやと思う。
と云うのも、本作ではほとんどすべての要素が善き形で機能してるし、あまりにも出来がエエなぁなんて思うから、幾度となく視聴してしまう。
アンソニー・ホプキンスがハンニバル・レクター役で最高の形で戻ってきてるし、今回はウィル・グレアム捜査官役のエドワード・ノートンが加わる。
ウィル・グレアムはレクターを捕らえ、長い年月をかけて刑務所に収監した人物として描かれている。
もちろんそれは、彼自身の健康に多大な代償を伴うものやった。
数年後、トゥース・フェアリー(歯の妖精)と名付けられた連続殺人犯が州をまたいで殺人を繰り返しており、この殺人犯を捕まえるためにFBIが選んだのは、連続殺人犯に対処すること以外には何もしたくない、引退した哀れなウィル・グレアムだけやった。
いろいろ考えた末、ウィルはしぶしぶ支局に戻るが、そのうちに、自分が最も恐れていることに再び立ち向かい、善良な?(時々牙を見せるが鉄格子の中やし、)ハンニバル・レクター本人と話さなければならないことに気づく。
今作品が面白いのは、ホプキンスとノートンが火花を散らしてライバル関係を新たな方向へと導き、二人の関係に面白いひねりを加えていること。
ハンニバルはウィルを、観る者がそれを味わいそうなほど情熱的に憎んでいる。
また、ハンニバルはウィルを自分と同等に見ており、ハンニバルの中では誰も自分と同等であるべきではない。
一方、ウィルはハンニバルを自分自身のダークサイドとして見ており、それだけでも、彼が捕らえなければならない怪物の心の中に入り込むたびに綱渡りをすることになり、彼は怖くなる。
さらに、"歯の妖精 "と呼ばれる連続殺人鬼が登場する。 
"レッド・ドラゴン "(麻雀牌"中"との謂れは面白かった。英語では麻雀の三元牌のことをドラゴンタイルと云うそうで、その色にちなんでそれぞれホワイトドラゴン(白)・グリーンドラゴン(發)・レッドドラゴン(中)と呼んでる)の名で知られるこの殺人鬼の姿は、彼の家に飾られ、犯罪のインスピレーション源となっている。
レイフ・ファインズが演じるフランシス・ダラハイドは、善良な人間でありながら、自分の人生に何らかの意味を見出そうとするあまり、いつも暗い心の声に耳を傾けてしまう、病んでいて悲しい殺人鬼。
ファインズは、ノートンとホプキンスから映画を奪ってしまいそうなほど強烈で、タイトで節度のある演技で、悲しく、同時にまったく恐ろしい。これらすべてと巧みな脚本が、このシリーズにふさわしいだけでなく、その前身である『羊たちの沈黙』以来のサスペンス映画と云えるかもしれない。
余談だが、『刑事グラハム/凍りついた欲望』はトマス・ハリスの小説『レッド・ドラゴン』を初めて映画化した作品やけど、本作と比べると、その素晴らしさには遠く及ばないかな。
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