テレビドラマ”LOST”シーズン1で脚本を担当したDrew Goddardによる脚本を、13歳の頃からJ.J. Abramsと一緒に短編を作っていたというMatt ReevesがJ・Jから監督を依頼されて軽い気持ちで引き受けたというfound footage作品。
制作はJ・Jの所有するBad Robot Productions。
家庭用ビデオで素人が撮り続けたという体のリアルさはあるのだが…しかし無尽蔵に動くカメラの所為で画面が落ち着くことはなく、そのお陰で車酔いのように気持ち悪くなる。
本作を見る前に酔い止め薬が必要である。
…脳みそが地盤沈下したみたいに疲れて見てられない。
驚かすという意味ではキャッチーさはあるんだけどね…30分が限界。船酔い、車酔いに近い感覚。
…ひと休みして再開。
暴徒と化した人らが、お店に侵入し商品を持ち帰る。これは…Black Lives Matter運動のデモに便乗してナイキショップからスニーカーを山ほど盗んだり…ついこないだも現実世界で行われていた。現実の光景に見慣れてしまい、既視感から何も感じないような不感症のカラダに成り下がってしまった…。
それにしても、お別れパーティーで他の男と仲よさげにした挙げ句に、途中で帰ってしまったベス?を助けに行くのか?どうだろ?なんかワンナイトだけの関係のようにも見えるし…
自分のこともままならないようなこの状況で、助けに行くのか…?さらに、助けに行く男を引き止めつつも、結局一緒に行動する周りの友達連中もよくわからない。
一個中隊と合流するが…
どうしても愛する人を助けたいと訴える。
それでひとりの軍人が彼らを行かせるのだが…
え?手ぶら?嘘でしょ?小型のエイリアンみたいなのが沢山いるのに…銃のひとつくらいあげなよ!随分と冷徹に感じる。
さらに女性は危険だから残れと言ってよ!ロブも君は残れ!と言ってほしかった。なにを当たり前に一緒にいるのか?しかも彼女はピンヒールだよ?!走れねーし、足手まといダロ?
カメラも回してる余裕ないだろ?君も残りなさいよ。
おっと…外に出て「君らは来ないでいい」とロブ。いま言うのかよ!いや遅ぇよ。
「いえ一緒に行くわ」とリリー。え?なんで?ピンヒールで?いや軍に残れよ。
○ベスの部屋
ベスの住むタワマンが傾いて隣のビルに寄り掛かっているので、その隣のビルから屋上伝いに移動する。
途中、ピンヒールを脱いで裸足になるリリー。この状況で裸足は危険だと思うけど…割れたガラスやら、そこら中に撒き散らされてるよ。
そしてリリーの部屋に着いたなら、先ず下駄箱を探してスニーカーを手に入れるべきだろ?!
走って逃げなくてはいけない状況の中でピンヒールは絶対にあり得ないし、はたまた裸足という選択肢もないだろう…とにかく自分の命を守るためにも運動靴はマストアイテム!
タワマンに住んでるくらいだから、プレミアのJORDANシリーズとか持ってそうだし…
とにかくピンヒールが気になって気になって仕方がない。フェイクドキュメンタリーにうまいこと見せられてるのに…そういう細かいところに目を配って欲しかったなぁ…と。
メモリーカードに記憶させるテープレスの時代となったいま、本作のようにホームビデオで使用済みテープを重ね撮りしてしまうという、なんとも言えないこの哀愁とでも云おうか…侘び寂びと云うか…
小学生で自分のスマホを持つような今の若い世代には全く理解できないのではないか?
たかだか10年そこそこしか経っていないこの映画すらもわかるのかなぁ?途中でベスとイチャイチャしてるシーンがなぜ出てくるのかわからないんじゃないかな?
全てを上書きして塗り替えることしか知らない世代には、この重ね撮りの隙間に不意に浮かび上がる古い映像の何とも言えない気持ちはわからないだろう…