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アンタッチャブルのbeachboss114のレビュー・感想・評価

アンタッチャブル(1987年製作の映画)
4.0
『モリコーネ』鑑賞をきっかけに久々の再見。

感想は、当時、予備校の授業を抜け出して行った初見の時とほぼ変わらず、「音楽と脚本が抜きん出ていたのに、演出家のマスターベーションがすべてを台無しにした残念映画」だった。

収穫は、モリコーネ音楽の素晴らしさを改めて実感できたこと。あのハーモニカは、フィルム・ノワールとマカロニ・ウエスタンの融合を表していたんだな。

今や演劇界の大御所にしてピュリッツァー賞作家デヴィッド・マメットの脚本も冴えまくり。ラストのセリフなんて巧すぎて震えたわ。

で、肝心の演出。初見で感じた以上にヘンテコリン。当時、技巧派だのヒッチコックの後継者だのと持ち上げられてイイ気になってた監督のドヤ顔が透けて見えて、反吐が出そうになった。ユニオン駅のシーンで「オデッサの階段」を再現しました、だからどーやねん。裁判所の屋上からチンピラ突き落とすシーンはヒッチコックへのオマージュです、そこだけマンガやないかい。冷静に見たら「一体、何やってんだか」。この2つの「気っ色悪い場面」が、もはや賞味期限が切れて分離してしまった調味料のように浮いているせいで、珍品に片足突っ込んだとも言える。

そんなこんなで、この監督と当時こいつを持ち上げて悦に入ってた映画評論家と、京都は四条の映画館で「予備校の学生証では学生料金にはなりません」なんてぬかしやがったイケズでドケチな京都女は、今ごろ報いを受けていることを願う。
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