テレザ

恍惚のテレザのレビュー・感想・評価

恍惚(2003年製作の映画)
4.0
この映画オシャレすぎない?無理…
私の生涯ベストに食い込む傑作。

20年前の作品に関わらず意識的に新しいことをしている。
それは敢えて既存の枠組みを利用して言えば「ホモソーシャルの逆バージョン」。
しかも物凄く上品に、慎み深く秘匿しながらそれを描いている。
男に利用されているテイを装いつつ、実はそれを利用する=男との情事を語り、共有することで近付く二人の女。
監督がメイキング映像で言っているように、「エロティックな言葉で結ばれた3人の関係は奇妙だけれどプラトニックでもある。プラトニックのまま性を描いたのよ。」

見ているうちに「シスターフッド…」というHOTワードが想起されるが、この映画をそう表現すると稚拙で下品になる気がする。

主演のファニー・アルダンもエマニュエル・べアールも「8人の女たち」で共演しており、その作品でも2人とも役柄込みでクィアーな魅力を振りまいていたのでハッキリと印象に残っている。
特にエマニュエル・べアールの、美しい表情の中に潜む飢餓感といいますか、小悪魔を極めた先に待つ深い孤独を体現したかのような、あの堕天使感……、それが今回の「恍惚」でも作品内容とハッキリとリンクしていて、奇跡を見ているようだった。宝石すぎんだろ…。

(なんでしょうねあの、べアールから溢れ出る静謐な「構って」感。目線が常に移り変わるかと思えば、次の瞬間に一点に固定されたりする。興味を探して渡り歩く少女のような魅力。「心ここにあらず」が「構って」の裏返しなのだと教えてくれる。)
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