ポレポレ

トイレットのポレポレのレビュー・感想・評価

トイレット(2010年製作の映画)
4.8
BS松竹東急の『よる8銀座シネマ』で鑑賞。

母親の死を機に久し振りに揃った家族--引き籠りのモーリー(David Rendall)・オタクのレイ(Alex House)・ぶっきらぼうなリサ(Tatiana Maslany)・猫のセンセー(Dalton)・日本人のばーちゃん(もたいまさこ)。退屈な日々の中で停滞していた家族が少しずつ変化していくドラマ。

きょうだいが触れ、関わる事物--プラモデル、3000ドル、ミシン、詩作、トイレ、餃子、煙草、スカート、エアギター、ピアノetc.--のそれぞれは、ありふれた小さなものばかり。その小ささ故に「どうせこのまま……」と絶望して諦めていた3人の、緩慢だが大きく成長していく様が伝わってくる。

英語を一切話せず、無言で無表情なばーちゃんが不気味だけどおもしろい。3きょうだいが彼女と徐々に打ち解け、真に“家族”になっていく過程もいい。ずっと寡黙だった彼女がクライマックスに発した、たった2語の台詞が胸を打つ。……もたいまさことエアギターの組み合わせは『かもめ食堂』のオマージュか?
ポレポレ

ポレポレ