てれ

ミラクル/奇蹟のてれのレビュー・感想・評価

ミラクル/奇蹟(1989年製作の映画)
3.7
気品ある洗練された正装と、胸元に差した薔薇を愛でる表情の温かさが美しい調和…この世界観はレトロでいい感じ。

人情話だけど、同時に人助けは疲れるってことが分かる。というのも夫人を助けることに最初はゴクよりもルーミンの方が積極的だったし、ゴクは途中で投げ出しそうになったりもした。そこがある意味人間っぽくてリアルだと思った。
それでも、幸福の薔薇をくれたカオ夫人に恩返しをしたい一心であれやこれやと手を回すゴクがふと憎めないなぁと感じた。決して自分ではない「誰か」のために突っ走る彼の衒いなさにひかれる。

ただ、周りのキャラクターがみんな個性的で主人公であるはずのゴクの存在感がやや薄味に感じてしまったのも事実。偶然黒社会のドンになってしまった時やカオ夫人を助けると決めた時などのゴクの心情を、もう少し詳しく見せる場面がほしかった。
ジャッキーはどの映画も心血注いで作ってるし、この作品は更に本人が太鼓判押してるのに、思っていたよりハマることができなかったのが悲しかったな…

でも今回はルーミン役のアニタ・ムイが良かった。溌剌しててちょっとお節介な女性役が上手。ファッションも場面ごとにコロコロ変わって粋だし、ホテルのワンカットで歩くところなんか最高にお洒落だった。Rose, Rose, I love youの色めいた歌声も本当に好き。
あとスクリーンにおけるジャッキーとアニタの相性、めっちゃ良いよね。画になる二人。

期間をあけてから、また観たいと思う。
てれ

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