ぬーたん

いまを生きるのぬーたんのレビュー・感想・評価

いまを生きる(1989年製作の映画)
4.1
コロナ自宅待機中、時間はあるし‥ということで多分25年振りだけどセリフもじっくり聞いてみたい、衝撃のラストは忘れてない今作をチョイス。
全寮制の優秀な男子校。その生徒と新任教師のキーティングの物語。キーティングはこの学校の卒業生で規律の厳しさを知ったうえで、堅苦しくないというか自由な発想の授業をする。
キーティングをロビン・ウィリアムズ。まだ30代の若さ、ややポチャ。乗りに乗ってる頃でこの後の90年代の活躍が素晴らしい。彼が今生きてたら‥とロビンの作品を観る度に思う。先生役はぴったり。こんな先生が居たら良いのにと思える、楽しくて笑顔が素敵で、情のある教師だ。本人そのもの。映画ネタも面白かった♪
生徒たちの中心は優秀な生徒、ニール。ロバート・レナードが演じた。親しみやすい顔立ちと雰囲気。現在50歳、ドラマが多いようだ。『ブラックリスト』にも悪役で出てたのね。
ニールのルームメイトの転校生トッドはイーサン・ホーク。わ、若い!まだ10代!顔は同じだけど、幼さが残っていて可愛い。最初オドオドしてた彼の成長をラストでしっかり見れる。ロバートとイーサンはこの作品をきっかけに親しくなり、劇団を結成したという。この4年後の『ガタカ』は素晴らしかった、一躍人気者に。現在49歳、かなり皺が増えてオジサンになったが、渋くて魅力ある俳優になった。イーサンが出てるだけで観たくなる、好きな俳優だ。
ニールの父をカートウッド・スミス。良く観る顔だ。脇役だが、政治家とかちょっと固い役が多いかな。今回も厳し過ぎて異常なくらいの父、だ。お笑いの、ホンコンにやや似😅
学校の校長はノーマン・ロイド。なんと、105歳で健在だそうだ。ロビンよりずっと長生きするとは!寿命って分からない。まあ、自殺は寿命ではないのか…。
タイトルにもなっているDead Poets Society(死せる詩人の会)寮の近くの洞窟の中で行われるその会合が、秘密めいてて、校長に見つかるのではないかとハラハラする。
「Carpe Diem」いまを生きろ、というキーティング。
自分のしたいこと、考え、夢、を持て。あらゆる可能性を秘めた生徒たちを励まし、勇気付け、叱咤する。
私事だが、私の高校に変わった先生が居た。英語の教師で私の担任でもあった。その先生の授業はユニークだった。教室を暗くして映画を上映することが度々あった。映画好きで発想が新しい、今までに会ったことのない教師であり、大人だった。授業で最初に観た映画は『自転車泥棒』先生は黒澤明とドストエフスキーを愛し、休み時間はマラソンをしていた。その後数十年経っても交流は続いている。
キーティングはこんなのくだらない!と本のプリチャードのページを破け!と言う。これだけはちょっと疑問あり。破って捨てろ、と言った時点で命令で生徒たちに自由はない。私の先生なら何と言うかな?『プリチャードくだらないですねえ。ここは飛ばしましょう』くらいかな。
この年代の男子生徒たちの友情や恋、ふざけたり喧嘩したり。青春だよね。観ていてニヤリとなる。中年過ぎて再会しても、きっと時間はすぐにこの頃に戻って楽しく話せるんだろうなあ。
ラストは感動で泣ける。悲しいことや辛い選択を乗り越えて、心の絆はまだ結ばれていること。そして、全ては無駄ではなく、その後の彼らの長い人生に影響を与え、励ましの言葉となることを、キーティングは感じただろう。
その優しい瞳は彼の人生とも重なり、涙が止まらぬ…。
ぬーたん

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