荒野の狼

子連れ狼 死に風に向う乳母車の荒野の狼のレビュー・感想・評価

5.0
若山富三郎の子連れ狼の映画化の第3作。若山の殺陣は相変わらずよいのですが、強すぎて殆どの相手を一刀のもとに切り捨ててしまうので、名勝負にはなっていません。今回の若山は、はじめて銃を使ったり、大五郎をおとりに敵をだまし討ちにしたりと、相手が悪人の時は容赦のない闘いをします。しかし、落としたご飯を拾って食べる大五郎を褒めたり、女郎屋から逃げてきた百姓娘を命懸けで助けたり、武士道とは何かについて悩む加藤剛に、その武士道を教える(“まことの武士道とは死をもって生きること”)など魅力的な人間に描かれています。
共演の加藤剛も冒頭で迫力の殺陣を見せます。しかし、この映画の最大の魅力はやくざ忘八の頭の浜木綿子。さらしを巻いたり、股旅姿だったりの男装なのですが、大きな瞳と美しい白い肌が匂うような色気です。台詞まわしも舞台で大見得をきる様な演技なのですが、それが自然に決まっています。“粋”という言葉が、ぴったりの浜木綿子です。
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