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風雲児 織田信長のodyssのレビュー・感想・評価

風雲児 織田信長(1959年製作の映画)
3.5
【正統派時代劇】

BS録画にて。

或る意味、古典的な信長像そのままです。青年時代はうつけ者と言われていた信長が、父の死をきっかけとして領主意識に目覚め、鉄砲隊を重視し、木下藤吉郎や蜂須賀小六を使いながら、数では圧倒的に有利と見られた今川義元を桶狭間の戦いで破る、という大筋は、あまりに有名ですから。

まあ、今川の軍勢がそんなに多かったはずはないとか、信長は奇襲攻撃を仕掛けたわけではないという説もあるようですが、映画ですから、そういう面倒くさい話は抜きで。

信長を演じる中村錦之助(現在は萬屋錦之介)もいいのですが、濃姫(香川京子)、斎藤道三(進藤英太郎)、今川義元(柳永二郎)、平手政秀(月形龍之介)など脇役陣が充実していますね。若かりし頃の里見浩太朗(この時23歳)も出ています。また、合戦などの場所の広さや、人数の多さも、今からすると目を惹きます。この映画が作られた1959年(昭和34年)の邦画界は全盛期ですから、お金をかけていたんでしょう。

最近日本で作られる時代劇からはこういう正統派時代劇ならではの味わいがなくなっています。時代の変化だから仕方がないのかも知れませんが、こういう映画を作れた時代はよかったなあ、なんて思うのは年を取った証拠かな。
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