チッコーネ

危険な女のチッコーネのレビュー・感想・評価

危険な女(1959年製作の映画)
4.0
全然期待していなかったのだが、松本清張の原作が面白いのか、没入できる佳作。
冒頭から作家の屈折したナルシシズムが発揮され、やがて両成敗へと雪崩れ込む展開の、露悪的なほろ苦さ。
作家を慕う女編集者や悪役のキャラ立ちも鮮やか、他作ではさほど魅力的に映らない芦田伸介、渡辺美佐子ともにメインキャラらしい品格を発揮している。
ヒロイン転落のきっかけとなる真珠の映し方、ひなびた彼女の居室、今と大差ない東中野駅東口の地味な景観、そして山間のみずみずしさと、多彩な背景も目に楽しかった。

『全日本女子プロレス中継』テーマ曲作曲者のひとりである三保敬太郎のジャズが全編に鳴り響く、木琴鉄琴の調べが心地よい。