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ブルーバレンタインのkuuのレビュー・感想・評価

ブルーバレンタイン(2010年製作の映画)
3.9
『ブルーバレンタイン』
映倫区分 R15+
原題 Blue Valentine
製作年 2010年。上映時間 112分。
夢や希望にあふれていた過去と現在を交錯させ、2人の愛の変遷を描くラブストーリー。主演はライアン・ゴズリングと、本作で第83回米アカデミー主演女優賞にノミネートされたミシェル・ウィリアムズ。

仕事が芳しくないディーンと、長年の勉強の末に資格を取り、病院で忙しく働くシンディの夫婦は、娘のフランキーと3人暮らし。
2人はお互いに相手に不満を抱えていたが、それを口に出せば平和な日常が崩れてしまうことを恐れていた……。

今作品は、現代の夫婦を主人公に、時代をクロスカット(映画のモンタージュ手法で、異なる場所で同時に起きている2つ以上のシーンについて、それぞれのショットを交互に繋ぐことで、臨場感や緊張感などの演出効果をもたらす手法。パラレル編集とも呼ばれ、効果的に行えば、同時に2つのストーリーを語ることを可能にして、観客に与えられる情報に意味を持たせることができる)することによって、数年にわたる二人の変化を描いていました。
喜びと幸せの時代と失恋の時代を行き来し、観てる側は主人公たちの関係がどのように進化/変化したかを十分に見分けることができる。
今作品の主役2人は、ミシェル・ウィリアムズとライアン・ゴズリングがファンタスティックに演じていました。
2011年アカデミー主演女優賞でウィリアムズは、大ヒットドラマ/スリラー『ブラック・スワン』のナタリー・ポートマンに敗れはしたが、個人的には僅差だと今更ながら思うほどの演技でした。
ディーン(ゴズリング)のキャラは、のんびりしていて、世間体を気にしない人物として描かれているが、現代ではそれとは対照的に、一見不機嫌そうな振る舞いを見せる。
過去のシーンでのディーンと、現在のディーンとの対比は興味深い。
対照的にシンディ(ウィリアムズ)は、未来のシーンではよりポジティブに描かれ、娘への献身とキャリアに大きな焦点が当てられている。
過去のシーンでは、シンディはかなり混乱し、誤解を招きやすいキャラとして描かれており、壊れた家庭で育ったことが示唆され、とても性的に活発。
若くして妊娠し、直接明言はされなかったけど、彼女の娘はディーンの子ではないと推測できる。 とは云え、ディーンは一歩踏み出してシンディと結婚する。
これは、現代を舞台にしたシーンでは間違った決断になりかねないものとして描かれている。
作中で2人のキャラがこれほどうまく溶け合い、多くの点で2人の俳優が完璧なコンビネーションを見せるのを見るのはあまりない。
その理由の多くは、ウィリアムズとゴズリングが今作品の撮影を通して即興で演技をし、今作品の役作りのために同居・口論を繰り返したことにあると思う。
今作品を観て、主役の2人が違う俳優であることを想像するのは難しい。
気に入っている点は、映画の各シーンがいかにリアルであるかということ。
また、主役のキャラを知り、彼らに感情移入するのに膨大な時間が与えられている。
強烈なバックストーリーがなければ、今作品を同じように評価することは難しかったかな。
登場人物を理解することで、物語そのものをより深く味わうことができたし、終始魅力的で、その過程で多くの感情(喜びも悲しみも)を引き出してくれました。
主演の2人のキャストは、どちらも主人公を見事に演じ分け、物語をうまく運んでいる。
今作品は、間違いなくこの年を代表する映画の一つやと思います。
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