能戸淳

聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実-の能戸淳のレビュー・感想・評価

5.0
役所広司さん主演、史実に基づいた戦争映画でありながら、国や組織であれば、どこにでも起きうる普遍的な事象を描いた素晴らしい作品だ。

その普遍的な事象とは、ポピュリズム、もっとサラリーマン的に卑近なものであれば、社内世論みたいなものだ。
そこにまともに抗うことは無理なもの、遠回りでも別な方法を取る方策もある。

本作における山本五十六司令長官も、組織や世論が戦争に傾くなか戦争回避への尽力をするものの、開戦へ。そして開戦するも終息に向けて尽力するが、無念にも・・・。

本作では山本五十六司令長官の生き様に加えて、世論、そしてその世論を動かす人間というもののいい加減さ、変わり身の早さも描いている。

若き新聞記者も当初は想像で開戦を唱え司令長官へのインタビューを行うが、空襲の写真を見て考えが変わり始める。
さらに終戦後、あれほど開戦に向けて人々を扇動していた香川照之さん演じる新聞社幹部の「民主化という文字を大きく!」という描写・・・人というものは過去の自分を忘れてしまうのか、意図して変わり身が早いのか。

人を盲信する前に、改めて自分の眼力をより鍛えよう・・・と思ったね。
能戸淳

能戸淳