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E.T. 20周年アニバーサリー特別版のMOCOのレビュー・感想・評価

5.0
「イッショニ イコウ?!」
「居るよ(僕は残るよ)!」

「ズット ココ(エリオットの頭の中)ニ イルヨ」

「さよなら・・・」


『地球が静止する日』『遊星よりの物体X』(1951年)、 『宇宙戦争」(1953年)、
『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』(1956年)、『火星人地球大襲撃』(1967年)、『エイリアン』(1979年)・・・。
 宇宙人は地球を侵略するもの、あるいは人類を滅亡をさせるものという映画を観せられてきた私たちは1977年の『未知との遭遇』で友好的な宇宙人と出会い、1982年『E.T.』で今までにない宇宙人と出会います。それはもう現代のお伽噺、年齢も性別も問わず、宇宙人と子供の話を観たのではないのでしょうか。
 それ以前にもクラーク・ケント(スーパーマン)やミスタースポック、ウルトラマンなど人類を守る宇宙人や、友好的な宇宙人をTVで観てきたのですが、いずれもある意味マンガチックな、人間と同じ様な作りの宇宙人でした。
『E.T.』に出てくる宇宙人は人間型とはかけ離れた少し奇妙な宇宙人でした。

 武器も持たない攻撃的ではない捕獲可能?と思わせる、か弱いそれまで観た事の無い宇宙人は地球にとり残され、捕獲しようとする大人(科学者)達と宇宙へ帰そうとする子供達の銃撃戦の無い逃走劇を展開します。


 地球に調査にやって来た宇宙人は政府機関の調査隊に発見されることを恐れ、早々に宇宙船で逃げるのですがそのうちの一人が乗り遅れ置き去りとなってしまいます。
 宇宙人は少年エリオットと偶然出会ったことをきっかけにエリオットの家にかくまわれます。エリオットは母子家庭の三人兄妹の真ん中の男の子です。
「E.T.」と名付けられた宇宙人は高度な語学力で言葉を使いはじめ三人と会話をするようになり、通信機を作り宇宙船に迎えを要望するのですが・・・。

 E.T.を宇宙に帰すために自転車の前カゴに乗せて、追いかける自動車を巧みにかわしていく五人のBMX(自転車)がE.T.の不思議な力で空を飛ぶシーンは映画史に残る名場面です。この『E.T. 20周年アニバーサリー特別版』のオープニングのユニバーサルロゴは、自転車で空を飛ぶシーンをコラージュした特別なものになっています。スピルバーグはファンタジー色を強めるためこの特別版で銃が出てくるシーンを排除し差し替えを行ったのですが、熱烈なファンからの「思い出の映画を改編してくれるな」という批判に応えて以降は旧作に手を加えることをやめています(これ以前に「未知との遭遇」は2回再編集しています)。

 孤独な少年と迷子の宇宙人の話はスピルバーグが16才の時に経験した両親の離婚が核となっているそうです。脚本を依頼されたメリッサ・マシスンは当時の恋人ハリソン・フォードの二人の息子など多くの子供からアイデアをもらったそうです。
 
 そんな訳なのかエリオットがE.T. に「一緒に暮らそうよ」と話すシーンはなんだか切なく胸に届きます。
 一緒に暮らすことなんて可能なのでしょうか?
 本当に一緒に暮らして行けるのでしょうか?

  E.T. がエリオットのおでこに指をあて「ズット ココニ イルヨ」っていう別れのシーンは深く印象に残ります。

 
『ジョーズ』『未知との遭遇』『E.T.』『ジュラシック・パーク』『インディ・ジョーンズ』スピルバーグ監督の初期作品は理屈抜きで映画の面白さを教えてくれました。
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