映画男

晩菊の映画男のレビュー・感想・評価

晩菊(1954年製作の映画)
4.0
最後のほう、駅なかの喫茶店にいた若い芸者は、本物だろう。フィクションの中に、圧倒的な現実が映されて一瞬ハッとした。これまで観てきた物語は結局卓越した演技力を持って繰り広げられたフィクションに過ぎず、現実の前ではどんな芝居も無力にならざるを得ないのかと、絶望しそうになった。しかしその後のモンローウォーク。フィクションは虚構であるからこそ、見出せる輝きがある。元芸者のおばさんの揺れる萎びれたケツがそれを体現していた。良いシーンだった。総括して、良い映画だった。
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