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悪太郎のotomのレビュー・感想・評価

悪太郎(1963年製作の映画)
5.0
刺青一代のチャキチャキがベストなものの、はいからさんな和泉雅子が見たくて。ベタな悲恋もよりベタでありつつ、更にはそこかしこに清順をきっちり感じさせ、大正浪漫具合も既に完成されてる具合。で、東京流れ者あたりからの極彩色ではないものの、モノクロでありながらも色が見えるってのも凄い。ダイナミックなパンニングにループ演出にとその辺りもいちいち上手い。学生の世界では完全無欠の悪太郎が大人の世界で味わう挫折って事で、ラストのお経のとこの嗚咽がかなり来る。そして芦田伸介の餞別の台詞『二十歳にやるべき事は四十、五十になってもできない』を二十歳くらいの当時も感銘を受けた筈なのに活かせてない今日の自分...。若かりし頃に聞かん坊ではなく、ちゃんと真理を悟るのもひとつの才能だわな。そんな意味でも悪太郎はやっぱり出来杉くん。
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