詩情あふれる映像の美しい法廷劇。日系移民の多いワシントン州の小さな島で起きた事件。濃霧による船舶事故なのか、積年の恨みを晴らした殺人なのか。
日系二世のカズオが疑われる。
日系人の寡黙さや忍耐力、勤勉さが、かえって信用できない人物と白人には映っていく。差別と迫害の中で生きてきた日系人と白人との対立を解きほぐしていくのは何か。
かつて愛した幼なじみのハツエ(工藤夕貴)への思いを断ち切れない新聞記者イシュマエル(若きイーサン・ホーク)。
瑞々しい子供時代のハツエを鈴木杏が演じている。
老弁護士にマックス・フォン・シドー。
冒頭の濃霧のシーンが墨絵のよう。
香り立つ針葉樹の森の雫。
流木が辿り着く海岸。
雪が覆い隠す痛み。
水が様々な形で島の人びとを守っていた。
人気小説が原作。ストーリーはシンプルだが、ミステリアスな雰囲気と映像美が素晴らしい。