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死にたいほどの夜のmazdaのレビュー・感想・評価

死にたいほどの夜(1997年製作の映画)
4.3
『男のすることには必ず理由がある』
人生に1つの夢をもっていた彼が夢を掴む一歩手前までいく実話に基づくストーリー。
相当好き嫌いが別れるタイプの作品だと思うけど私はとても好きな映画だった。この映画の空気がはまるかはまらないかで評価は変わる。
私的にはおしゃれムービーベスト10にはいる映画だった、おしゃれ映画、雰囲気映画というよりもムード映画というのがとてもしっくりくる。この独特な映像の作りがすごく好み。映像、音楽、作りのあらゆる部分がマッチして観ながらこの映画に酔ってる自分がいて、異性を好きになるみたいにこの映画に惹かれてしまった。お酒飲みながら観て、きもちよくなっちゃいたい映画って感じ。

夢にまで思っていたことが手に入れられるかもしれない事態がすぐそこにあったとしても、今自分の目の前にある現実の方に気がいってしまったという、すごく男の人(と、くくったら怒られそうだけど)の本能的な部分を感じた。
終盤までは、彼は「夢を手に入れられなかった人」と思っていたけど、最後に"待っていればよかったのかもしれないけど"という言葉が出てああ、「夢を手に入れなかった人」か、と私は思った。
観者には失敗したダメ男と映るように作られてると思ったので、夢を手に入れられなくてあーあ可哀想。みたいなのが素直に感じる感想だけど、考えてみると彼にとってそれは夢以上になんでもなく夢のままでよかったことなのかもしれない。それが『男のすることには必ず理由ある』に繋がる。
この事態が起きたその後、主人公である彼は放浪の旅にでて人生を終えている、というのがまさにその証明で、ひとつの場所にとどまらないということがきっと大元にあった、夢であるから惚れ惚れとして酔うのかもしれない、彼こそ自分の人生に酔っていた。
そんな主人公を私はとても理解できないしとても好きになれる人ではないし彼を理由に評価の低い人も多いみたいだけどヴィジュアルだけでなく、男を通して描いたテーマやメッセージにとても深さを感じて映画としてすごくよかったなあという観終わった後もひたひたしたきもちにつつまれて好きでした。この映画の言いたいことがわからなかったとしても出てくる女の子が超可愛いので可愛い女子と超ムーディーな空気を楽しむだけで充分オススメはできる。個人的には主人公の友人ベンが好みだった。キアヌリーブスは早朝5時の渋谷の男って感じなので目当てでみたらズッコケます。

余談だけど服の専門時代に講師が言っていた「良い悪いは置いといて、女のオシャレは全体のバランスや色や柄、なにより"可愛い""きれい"に見えるかを重要とする人が多く、男のオシャレはその服のディテールの細かさや作り、それをこだわった上にある雰囲気が感じられるようになってるか、を重要とする人が多い」という話がこの映画にとても重なりました。もちろん女性的ファッションも好きなんだけど、可愛いかどうか流行りかどうかというのは意味があるものと私は思わない。だからこの映画事態すごく男性的でこのキャラクター像やメッセージ性があるからこのムードが生まれたように思った。
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