ベビーパウダー山崎

異人たちとの夏のベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

異人たちとの夏(1988年製作の映画)
2.5
追悼で見た。原作が山田太一、脚色は市川森一。「市川森一が脚色を受けることが条件だった」と山田太一がエッセイに書いている。山田太一は市川森一の作家性を「センチメンタルでメタンコリーでノスタルジックな世界」とも書いている。物語に合ってるし、それほど信頼していたのだと思う。
俺の映画の歴史で大林宣彦というのは存在しないので、二時間ドラマとして向き合った。映画での名取裕子も全然馴染みがない。オロナイン軟膏のCMしかイメージがない。悲劇なんだろうけど、終盤の名取裕子に笑ってしまった。安っぽい『ポルターガイスト』みたいな、ヘンテコな特撮。無駄に大量な血しぶきは、また笑えたからあり。『牡丹灯籠』の変容として、生気が吸い取られた風間杜夫の特殊メイクもやり過ぎで、ドリフのコント。ドラマに集中できない。これを大真面目に撮っている大林のセンス、それを良しとする80年代日本映画。ドラッグ三倍増しのヤバさ。
母との触れ合いのあと名取裕子を激しく抱くくだりにあえて繋げたりして、息子が母でもある秋吉久美子に、愛情ありきで性的に惹かれていることも暗示している。意図的なんだろうと思う。これも結局は、大人になりきれない男の理想像「母と娼婦」の映画。俳優としての鶴ちゃん(ヨガ前、ボクシング期)、単に下手だが、なぜか役者として重宝される時代があった。
山田太一先生のホンは大好きです。これからも読み続けます。ありがとうございました。R.I.P.