Toineの感想文

悪魔のシスターのToineの感想文のネタバレレビュー・内容・結末

悪魔のシスター(1973年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

【思い出はいつもモノクローム】
また双子モノに手を出してしまった…
性癖には抗えない。くやしい。
多言語使用の映画マニアなので予期せず2言語の台詞が聞けて感激しながら鑑賞いたしました。

主演の女優さんのフランス語がケベコワ(カナダのフランス語)アクサンなので個人的に嬉しくなったのと、オープニングのいろんな角度で胎児を撮ったショットに禍々しさを感じ、最初から好感度が高すぎました。
流石でございます。

からのアフリカ系の男性が"ドミニク"に刺されて息絶えるまでのシーンや、画面2分割撮り、醸し出されるB級カルト映画っぷりがめちゃくちゃ良かったです。

そしてレンズから覗いたような演出のモノクロの回想で施設に居た結合三つ子の無言のダンスが1番グッと来ました。
なぜだかとっても惹き付けられました。

出だしからPeeping Tom(←のTomも含めて"覗き魔"という意味)番組を観せ、先生もお隣さんもみんな覗きを行っていたしラストシーンも覗きで締めていた。
覗きがテーマの作品だということに今更気が付きました。

クライマックスで、みんなに見守られて分離手術を受けていたシーンもクラシカルで最高!

ストーリーはサイコスリラーですが、その中に別れの哀しみが含まれていて素晴らしかった。

その哀しみというのは、身体の一部が結合していた双生児を切り離したら片割れが亡くなってしまって、今まで自分の一部というより自分自身と同化していたドミニクをダニエルはフィジカル的にもメンタル的にも失ってしまった哀しみ。

先生の洗脳によって引き離されてしまった。
ドミニクは洗脳されていなかったからダニエルから先生を遠ざけたかったのかも知れないし、ダニエルを自分だけのものにしたかったのだろうなと思いました。

双子の心の繋がり。
失った辛さ。
それによってダニエルは狂ってしまったのか。
ドミニクの霊に憑依されてしまったのか。

複数の解釈ができるように作られているのも素敵だなと思いました。