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シャーロック・ホームズのkuuのレビュー・感想・評価

シャーロック・ホームズ(2009年製作の映画)
3.7
『シャーロック・ホームズ』
原題 Sherlock Holmes  映倫区分 G
製作年 2009年。上映時間 129分。
アーサー・コナン・ドイルが生んだ名探偵シャーロック・ホームズのキャラにインスピレーションを受けたオリジナルストーリーを、ガイ・リッチー監督が映画化。
ガイ・リッチーが監督を引き受けた後、彼はシャーロック・ホームズで最もよく使われる2つの決まり文句、『Elementary, my dear Watson.(初歩的なことだよ、ワトソン君!)』ちゅう口癖と、ホームズの鹿撃ち帽を完全に削除するよう主張した。

19世紀末のロンドン。
ホームズ(ロバート・ダウニー・Jr.)と医師ワトソン(ジュード・ロウ)の2人は、怪しい黒魔術の儀式を行い、若い女性を次々と殺害するブラックウッド卿を逮捕する。
だが、処刑されたはずのブラックウッドが蘇り、再び殺人事件が発生する。。。

小生の親父は探偵業を一時期やっていた。
当時よく云ってたのは、今作品のシャーロック・ホームズの様な事件に出くわすことはほぼなかったと。
せいぜい、ワンちゃん猫ちゃんの捜索、浮気調査や人探し、ストーカー調査やいじめ調査、ホンでもって企業調査(親父は主にここをして書籍を作りさばいてた)、悩みを抱えるクライアントの代わりに調査をするなどなどで、一度、事件に巻き込まれたのは、不倫の証拠をとクライアントの妻を捜索してたら殺されてたと云うもので、警察は親父に任意と云いつつ執拗に尋問してきて辟易したと。
その割には、新聞報道をされてる内容ほどしか教えてくれなかったらしい。
刑事事件に完全に巻き込まれ、逮捕まで導くのは、現在、日本国でやったら、たとえ法律内の行動でも非難されかねないし、甘い蜜に迷い行動を起こして法を破る行為が多発しかねない。
私人逮捕系のYouTuberがその筆頭なんかな。
小生も私人逮捕を行って、相手を警察に引き渡したことがあったが、任意で警察に赴き証言し、そのあと、相手側の弁護士が示談を申し込んで来たが断り、それ以降は、検察がどう行動し、裁判が行われた否かすらわからない。
まぁ、明らかに証拠があるために証明の必要性がなかったからやろけど。
その後、調べたら多少の情報は得れるかもしれないけど、関わりはもうもちたくないしそれまで。
そないな、現在の日本国では探偵業はただの会社組織に過ぎない。
ただ、海外にはバウンティハンターは実際に存在してるけど、日本と似たり寄ったりかと。
それは、現代司法制度が確立してからはほぼ変わらないことなんかなぁと。
だから、人は、金田一耕助やポワロ、そして、今作品のシャーロック・ホームズと云う名探偵を空想しはじめたんちゃうかな。
スーパーヒーローを思い描くように。
余談ばかりになりますが、サー・アーサー・コナン・ドイル(1902年にナイトに叙せられ、『サー』の称号を得てる)は、ロンドンの有名なベーカー街221B番地(この221b Baker St, London 、昔、手紙を送ると返事が来るって聞いて、必死こいて書いてポストに投函した覚えがある)で活動する文学界きっての名探偵を間違いなく創り出し、これまで数え切れないほどの映画解釈の対象になってきた。
しかし、ガイ・リッチーがシャーロック・ホームズを、これまでのどちらかといえば堅苦しい人物像に比べ、現代風にセクシーに仕立て上げ、本からさまざまな手がかりを拾い上げ、それらの要素をちょいアップさせたような映画作品はなかったと思う。
ベネディクト・カンバーバッチ、BBC製作の『SHERLOCK(シャーロック)』はセクシーさはあったがテレビドラマやったし。
警察の顧問探偵でありながら、決して脚光を浴びることを好まないホームズの優れた観察力と推理力を知らない人はいないとは思う。
リッチーは、ホームズ(ロバート・ダウニー・Jr)と彼の信頼できる助手ジョン・ワトソン(ジュード・ロウ)のキャラをセクシーに演出し、この2人の紳士が同じシーンでスクリーンを飾るとき、明らかにワトソンがメアリー・モースタン(ケリー・ライリー)と婚約し、彼が彼らのアパートを出て行くことで、兄弟としての絆が危機に瀕し、感情的な問題を解決しようとしていることがわかる。
2人が分かち合う冗談は、疑いなく、絶大な成功を収めた緊密なパートナーシップの終わりに向かって、いがみ合うベテランカップルのよう。
このダイナミックなコンビが手を取り合って、絞首刑で死んだはずの悪党ブラックウッド卿(マーク・ストロング)が行った悪魔の儀式を解明する。
黒魔術、迷信、秘密結社がテーマとなり、ホームズとワトソンは科学を通して、新世界秩序が動き出す前に解決しなければならない。
シャーロック・ホームズちゅう人物のファンのための映画としても、入門編としても、今作品は、ホームズの不規則な食習慣、ベーカー街221Bの秩序ある混沌、時に見せる悪戯っぽい手法、無数の変装、そしてもちろん、二人の共同研究の伝記作家であるワトソンといった小ネタ。
あと、個人的に気になったのは、物語の中で、ホームズはBaritsu(バリツとはバートンライトちゅう武術家のオッサンが日本の古流柔術《ブラジリアン柔術とは別物》にステッキ術とボクシング、サバット《フランス式キックボクシング》を組み合わせて創始した護身術)の達人だと描写されていた。
しかし、映画では、ホームズが使った武術は詠春拳(イップ・マンイーやブルース・リーが使ったことで有名)。
ロバート・ダウニー・Jr.は実生活でもこの武術の使い手であり、パンチボウル・ピットでのデヴィッド・ギャリックとの格闘シーンは、彼のトレーナーの協力のもと調整されたそうな。
また、ワトソンがホームズに云った台詞、
"君が飲んでいるのは目の手術のためのものだと知っているかい?"
は、ホームズがコカインを使用していたことへの曖昧な言及で、当時、コカインは眼科手術の局所麻酔薬として使われていた。
物語の中でホームズはコカインを注射しているシーンがあるが、原作でもホームズは薬物中毒気味で描かれてる。
今作品では深く描かれてなかったが、原作やと阿片窟で水パイプで吸引している場面を、ワトスン君に見つかり、大目玉を食ったこともある。
余談の余談ながら、日本が誇る名探偵・金田一耕助も一時期、ヒロポン(覚醒剤)中毒やったと描かれてた。
などなど、シャーロック・ホームズという人物とその特異性を理解させるための、お決まりのシーンやちょい変更したのをうまくこなしている。 これらの要素のいくつかは表面的に扱われるが、他の要素は物語の中にそっと忍び込まれ、それを見つけたファンを喜ばせるに違いない。
ガイ・リッチーは、推理を展開する際のモノローグから、物理学と解剖学的知識のおかげで腕力に頼らざるを得ないホームズの自然な優位性を示すために、限られた手合わせにスパイスを加えることまで、フラッシュ・フォワードとバック・ワードでこれらの手腕のいくつかを強調するいつものトレードマークを刻印している。
リッチーは、膨大な数の凶悪犯の登場人物を誇るフィルモグラフィーの中で、同じストーリーテリングの手法を法の反対側にも適用している。
ロバート・ダウニー・Jrとジュード・ロウは相性が悪いと思う人もいるかもしれないけど、個人的にはそうは思わない。
ホームズとワトソンを演じた2人の共演シーンはこれ以上ないほど巧みやったし、ギブソンとグローバーが演じた『リーサル・ウェポン』シリーズのような、過去のバディ刑事コンビのようなスピリットを引き出すバディ・コンビは他に思いつかない。
まぁ、小生が無知ゆえかもやとは思いますが。
二人ともそれぞれの役柄に軽率な態度で臨み、特に頭脳的な能力よりもたまに拳を使うよう求められると、それぞれの持ち味を生かして、コンビを組んだときはとんでもなく楽しそうやった。
ここでの主要なアクション・シーンでは、沈没する船と空飛ぶアンカーが登場する、研究室から波止場へと波及する信じられないような戦いが繰り広げられた。
今作品のワイルドカードは、アイリーン・アドラー役のレイチェル・マクアダムスであることが証明されてる。
ここでの彼女の役割は、おそらく次回作のお膳立てに貢献することに他ならず、ホームズ最大の宿敵モリアーティ教授の影が常に漂っている。
しかし、今は、シャーロック・ホームズとジョン・ワトソン医師が繰り広げる、ハッラハラ、ドッキドキの冒険物語を深く楽しめた。
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