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コンドルのEikeのレビュー・感想・評価

コンドル(1975年製作の映画)
3.2
原題は「コンドルの3日間」。
CIAの末端組織で世界中で出版されたミステリーを分析している調査員が正体不明の敵に襲われ仲間を惨殺されて追われる身に。
コードネーム”コンドル”である彼は原因が彼が何気なく上層部に上げた報告書にあることに気付き、ミステリー本の分析で得た知識を総動員して決死の反撃を試みるのですが・・・。

典型的な”巻き込まれ型”サスペンスです。監督がS・ポラック、主演がR・レッドフォード、舞台はニューヨークと「都会派サスペンス」のおぜん立ては完璧。
そこにコンドルに無理やり協力させられるキャシー(F・ダナゥエイ)という女性が絡んで来ます。
書物の分析員で暴力とは無縁の主人公が訳も分らぬまま巨大権力に抹殺されそうになる展開が当時はユニークでした。

レッドフォード氏の男ぶりが炸裂していますが華を添えるフェイ嬢の硬質な色気も実に70sな雰囲気でいいですね。
でもやっぱり圧倒的なのはM・V・シドー扮する老練な殺し屋「教授」ですね。
右も左も関係無く、善と悪との綱渡りとも無縁の達観した老獪な暗殺者を無類の存在感で演じております。
デイブ・グルーシンの手によるサントラは70s中期あたりから花開く「フュージョン」を導入した先駆的なもので正に都会派サスペンスにぴったりでした。今聞いても無茶苦茶カッコいい音になってます。

問題はこの主人公がなぜ狙われる羽目になったか?
これが分かりにくい。当時の米国石油資本と国益が絡むものだったと思うのですが・・・。
まぁ、そんなこと分らなくても十分面白いですけどね。
ベストセラー作家のジョン・グリシャムもこのお話がよく理解できなかったそうで、それに触発されて一本小説を書いてます。
「ペリカン文書」がそれで、こちらも80年代にJ・ロバーツとD・ワシントンの共演で映画化されたのはご存じの通り。
なるほどコンドルに対抗してペリカンなのね。
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