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テレマークの要塞のtjZeroのレビュー・感想・評価

テレマークの要塞(1965年製作の映画)
3.6
ナチス占領下のノルウェー南部、テレマーク県。
独軍の工場で原爆の開発が進んでいる。
遅れをとった英国軍は、現地の教授とレジスタンスに協力を請い、工作兵を送りこんで爆破をもくろむ…という実話の映画化。

カーク・ダグラスが化学の教授に扮するというので「大丈夫かなあ」と心配だったけれど、レジスタンス役のリチャード・ハリスが訪ねて行くと、女子研究員とよろしくやってる最中…というニヤリとする始まり方。
逆にこれで、なんか面白くなりそう、という期待がふくらんだ。

その後はおおむね、裏切らない仕上がり。
地中海でドンパチしていた『ナバロンの要塞』に比べると、雪山や夜のシーンが多くて地味なんだけど、『ウィンチェスター銃’73』や『グレン・ミラー物語』で知られるアンソニー・マン監督の質実剛健でガッチリとした演出により、見ごたえのある戦時冒険映画になっている。

何より強いのが、やはり史実による裏打ち。
この作戦が失敗していたら、イギリスやアメリカに原爆が落とされていたかもしれないし、その後の世界もどうなっていたことか。
もちろん、この映画も生まれていないし、自分がこのレビューを書くこともなかっただろう。
…そう思うと、主役のふたり、ダグラス&ハリスを応援する気持にも力が入る。

ちなみに、スキージャンプの着地の際の姿勢”テレマーク”は、このノルウェーの地名が由来。
これからはレジェンド葛西選手の飛行を見るたび、平和のありがたさを感じるようになるかもしれない。
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