ほーりー

私は二歳のほーりーのレビュー・感想・評価

私は二歳(1962年製作の映画)
4.3
【市川崑特集⑦ 私は青二才】

たーちゃん(太郎)役の子役がとっても愛想よくて、笑顔を見ていると思わず心が和んでしまう。

1960年の『おとうと』と並びキネ旬ベストテンの第一位に輝いた本作は、タイトル通り赤ん坊の一人称で描いた異色作品。

※ 海外圏でのタイトルは、" Being Two Isn't Easy " で、こっちも良いタイトルだと思う。

とはいうものの後半は決して赤ん坊視点になっていないのが難か。

ただそれも「生」を描くためにはどうしても避けられない「死」について果たして二歳の子供の視点だけで描かれるかという問題もある。

やはりそこはどうしても大人の視点が介入する必要があるように思う。

だから本作にシニカルさやシュールさを求めすぎて観ちゃうと(確かに市川監督らしくそういうシーンは多いのだが)、意外にも常識的でちょっと肩透かしを食らうかもしれない。

でも自分は純粋に本作が好きだ。親から子へ、子から孫へ、精神のリレーを描いているから好きだ。甘甘かもしれないけど。

最後にフーッとろうそくを吹き消すたーちゃん。それまで2本だったろうそくが一瞬だけ大量の数に変わる。

それはじいちゃん、ばあちゃん、パパにママの今まで生きてきた人生の上に、さらにたーちゃんの人生があることを指しているのだろう。決してたかが2年の人生ではないのである。

山本富士子、船越英二、浦辺粂子、京塚昌子、浜村純、岸田今日子はいずれも印象深い。

そしてたーちゃん役の男の子の愛くるしさ、それに声をあてた中村メイコの表現力、観賞後しばらく忘れることができない。

■映画 DATA==========================
監督:市川崑
脚本:和田夏十
製作:永田秀雄/市川崑
音楽:芥川也寸志
撮影:小林節雄
公開:1962年11月18日 (日)
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