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デジモンアドベンチャーのよーだ育休中のレビュー・感想・評価

デジモンアドベンチャー(1999年製作の映画)
3.0
東京都練馬区の団地に暮らす八神太一と妹のヒカリ。二人の前で、パソコンの画面から突如謎の卵が飛び出してくる。卵から孵った謎の生き物は姿を変え、やがて自らを『コロモン』と名乗るようになる。


◆デジモンアドベンチャー前日譚

八人の《選ばれし子供達》が、相棒のデジモン達と力を合わせてデジタルワールドと現実世界の危機を救う冒険ファンタジーアニメ【デジモンアドベンチャー】の前日譚として描かれた作品。アニメ版の主人公である八神太一と妹のヒカリは、デジタルワールドへ旅に出る以前からデジモンと関わりがあった事が描かれています。

しかしながら、今作はアニメ版の作品と地続きであるようには思えませんでした。『今作を観ていなくても、アニメに支障がないように』『劇場版ありきの地上波アニメにならないように』という制作側の配慮とかでは無く、どちらかといえばスピンオフや番外編という印象。登場するキャラクターは同じでも《デジモン感》があまり感じられませんでした。


◆ デジモンアドベンチャー番外編

まずは作画。【僕らのウォーゲーム!】と同様、アニメ版とは違う細田守監督が手掛けた作品でした。Wikipedia先生によると、今作が細田守監督の映画監督デビュー作なんだとか。ウォーゲームほど細田監督っぽさはありませんでしたが、人物の顔のタッチなんかは言われてみれば確かにそれっぽいかも。

そしてなんと言っても雰囲気。未知の世界でデジモンと一緒に冒険しながら子供達が成長していくアニメ版と比べて、今作では『日常に突如現れた異物や歪みに対する違和感』にフォーカスした様な作りになっていました。20分という短い尺の中で登場人物が少ないのは当然だと思いますが、7歳と4歳の兄妹がデジモンを前にした時の反応や、デジモンが進化していくにつれて煽られる不安感が印象的でした。アニメ版では可愛かったアグモンが、今作では恐怖でしかない。コロモンの時にはフレンドリーに話しかけてきたくせに、進化したら急に喋らなくなって問いかけにも反応しなくなってしまう。制御が効かなくなって手当たり次第にスピットファイアー(高火力)をぶっ放して『グルルル...』とか唸り出す。そもそもサイズ感がね。デカすぎるんだよね。びっくりしたわ。

パロットモンと(アグモンが更に進化した)グレイモンが夜の団地でドンパチやってるシーンも違和感。人気がなさすぎる上に、ベランダから覗いているのはみんな子供達。太一の両親が出てきたり、トラックや飛行機(アグモンの的)が動いていた事から、大人が存在していないというわけではなさそうでした。なのに何故か大人達はみんな顔が映らない。徹底して画面上から大人の存在を排して、子供達にまざまざとデジモンの存在をぶつけている演出もどこか奇妙でした。

いつもノリの良いOPでテンションをぶち上げてくれるButter-Fryも、今作ではEDでの起用。ジャカジャカ感控えめでした。夏のホラーの様に《怖い》作品ではありませんが、子供がなす術なく立ち尽くす前で怪獣が暴れ回る《奇妙な》感覚の作品でした。


*雑記*
ようやく僕の気持ちがカタールから帰国しました。つきましては、皆様のレビューにもお邪魔させていただきますので、また宜しくお願いします!