ネタバレ
是枝監督の独り相撲
是枝さんが何を描きたかったか忖度する必要性を感じない人間にとって、率直な感想を述べるなら残念の一言。
オープニングのタブラトゥーラ音楽はともかく（監督的には良かったのだろうが個人的にはミスマッチ）、序盤は意外に悪くなさそうと期待が持てた。
長屋セットの度を越したみすぼらしさ、住人の汚さ、臭そうな厠など貧民窟の再現はデフォルメが効いていて、なんか是枝さんぽくなくてＧＯＯＤ！
そんな中に全然そぐわないきれいな侍寡婦として宮沢りえというのもまぁよし。父親仇討ち居候としてのイケメン岡田准一もまあまあ呑み込めたとして、その後の展開が散らばりすぎて、あっちをつまみ食い、こっちをつまみ食いとどうにも話が浮つくばかり。
赤穂浪士討ち入りをどう絡めるかが見ものと最注視していたのに肩透かしもいいところ。あぁ・・・
結局、岡田准一の仇討は自分の中に矛を納め、仇の子供に読み書きを教えるという心意気へと昇華させ。吉良仇討ちから逃亡した赤穂浪士の一人は卑怯卑屈な思いから一転開き直って帰郷するという結末。
でも、どこにもダイナミックに突き抜けることなく、手先でコネコネ作品をまとめ上げるような手法、それこそが是枝監督っぽさなのかもしれないとある意味納得。
今回も期待はしたけれどやはりネガティブ評価となってしまったが、まだまだ是枝作品には挑んでいく予定。いつか過去の低評価を恥じるような図抜けた作品に遭える日を期待しつつ。
追記：配役はいいのに、役者のポテンシャルを引き出しきれていないっ！！というもどかしさが常に付きまとう
032003
