父の仇討ちのために江戸のボロ長屋で暮らす主人公がそこでの生活や人との関わりを通して「仇を討たない生き方」を見つける話。9.11に影響を受けて作られた作品。自分にとって憎い相手でも、その人にも家族がいて愛する人、守るべき人がいることに気づいた時、報復を果たすのはまた新たな憎しみを生むのではないかというメッセージ性もあるが、それをあまり表に出さずかなりコメディというかポップな仕上がり。そこがいい。長屋でおバカで能天気で貧しいながらも身を寄せあって支え合い、笑い合い、時にずるがしこく生きる住人たち。愛と人間味に溢れたキャラクターたちに惹かれる。キャストもめちゃくちゃ豪華。長屋の人々の話が一部同時進行的に進むため少し話がとっちらかって見えるがそこはご愛嬌。個人的には主人公のおじさんの台詞が印象的。ポジション的には主人公に仇討ちをさせなければならない台場だけど、そうじゃない幸せのヒントをくれた人。あと「桜は来年も咲くことを知ってるから潔く散る」という台詞も心に残った。なぜか。
