HAYATO

禁じられた遊びのHAYATOのレビュー・感想・評価

禁じられた遊び(1952年製作の映画)
3.6
2024年180本目 
戦争で孤児となった少女の運命
『太陽がいっぱい』のルネ・クレマン監督が反戦の訴えを詩的に綴り、ベネチア国際映画祭金獅子賞、アカデミー賞名誉賞(後の外国語映画賞)などを受賞した不朽の名作
第二次大戦下のフランス。ドイツ軍による爆撃で両親と愛犬を亡くした幼き少女・ポーレットは、一人彷徨ううちに年上の少年・ミシェルと出会う。彼から死んだものの葬り方を教わったポーレットは、次第にお墓を作る遊びに夢中になるが、やがてその行為が大人たちの目に触れ…。
『さらば友よ』のブリジット・フォッセー、『死刑台のエレベーター』のジョルジュ・プージュリー、『シャレード』のジャック・マランらが出演。
原作は、フランソワ・ボワイエの同名小説。日本では1971年に大島弓子により漫画化されている。また、藤子不二雄Aが同名タイトルかつ似たような設定で漫画にしている。
劇中音楽はナルシソ・イエペスがギター1本で演奏。主題曲“愛のロマンス”は世界的に大ヒットし、その哀愁に満ちた旋律は広く知られている。
『縞模様のパジャマの少年』然り、子供の目線で綴られる戦争の話は悲惨さや残酷さが際立つ。ストーリーの大半はポーレットとミシェルが大人たちに内緒で墓作りを楽しむ様子が描かれるが、その上空を爆撃機が飛び交う様はまさに狂気の世界。
幼くして「死」と直面し、実感も湧かないまま一生懸命「死」を理解しようとするポーレットの姿を見るのは辛く、その過程で死んだもののために墓を作って祈りを捧げるという「遊び」に夢中になっていくポーレットとミシェルを責める気持ちにはなれない。戦争の方がよっぽど禁じられるべきだ。
なんの罪もない子どもを犠牲にする戦争を繰り返す人間の愚かさ、それを止めることができるのは神ではなく人間自身だということを鋭く訴えかける反戦映画だった。
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