ニックが家族において「夫」役でありかつモラハラ気味だったり、浮気騒動があったり、「完璧」なレズビアン夫婦でない表現がよかったです。いびつさや、変化を含めて複雑なひとりの人間なのですよね。
性的マイノリティであっても既存の価値観から逃れられるわけじゃないし（家にお金を持ってくる人間がもっともえらく、ケアは無償でなされるものという価値観）、完璧な親には誰もなれません。
男女の夫婦では問題にされない「子どもはだいじょうぶなの？」「ふたりにトラブルが起きたらどうなるの？」「子どもが精子提供者に会いたくなったら？」の疑問に答えようとしている作品と思います。完璧に素晴らしい内容とはいいません。
現代ならもっといいレズビアン映画が作れるでしょう。
もっと子どもの目線で撮ってほしかったです。この映画が必要な層に子どもも含まれるでしょうから。
レズビアン映画でやたら性描写が濃厚に描かれるのは、今まできちんと描かれてこなかったという意義があってもときどき困惑します。濃厚な性描写が無くてもロマンチックに、親密に描くことができるはずなのに！男女の映画でもそもそも性描写の多いものは苦手だから、好みの問題かもしれませんね。最初のあっさりした描写くらいがちょうどよかった。
