にじのすけ

ゾディアックのにじのすけのレビュー・感想・評価

ゾディアック(2006年製作の映画)
3.4
現在も未解決のままである有名なゾディアック事件を、その正体を追う新聞記者、刑事、カートゥーン作家の三者の視点から追った、ドキュメントテイストの作品(原作はこのカートゥーン作家のノンフィクションに基づいている)。
脚本も演出もストーリーの運び方も極めて緻密かつ周到に設計されており、そこに膨大な量の情報が盛り込まれているため、めまいがしてくるが、そこはフィンチャー。どこまでも淡々としかし重厚な描き方によって、事件の核心に迫って行く緊迫感を最後まで維持し続けた点は、おみごと!というほかない。2時間半を超える尺だが、それも上記の観点からすれば必然的な長さであることが十分に伝わってくる。
ただそれが映画的な面白さというものにつながるかというと、なかなか難しいところ。私は本作を映画館で見たいとまでは思わなかったが、それは好みの問題であって、作品自体の質とは関係ないことは強調しておきたい。
むしろミステリーや社会派ドキュメントがお好きな方は、十分な満足感と満腹感を味わえるだけの意欲作であることは、保証します。
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