教授

ふりむけば愛の教授のレビュー・感想・評価

ふりむけば愛(1978年製作の映画)
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マイク・ニコルズ監督「卒業」のかなり変わったアレンジ(?)というか、オマージュ(?)というか。
奇妙な作品をつくり続ける大林宣彦の「初期」で最も珍妙な作品。

「珍妙」の理由がとにかく「無内容」という点に尽きる。
サンフランシスコが舞台になっていて「糸の切れた凧」として一見自由に、その内実は凡庸な、しょうもない反抗心で無為な生活を送っていただけの三浦友和と、順応に嫌気がさして自由を求めていた結果、その自由の無責任さに翻弄されてしまう山口百恵の「痛い」ラブストーリーとなっている。

この「痛さ」が中々確信犯的な部分もあり、そうではなく「やる気がない」という部分もあることが本作を珍妙なものに仕立ててしまっている。
どうせ、当時のスーパーアイドルカップル同士の観光映画、とするならば大林宣彦の起用は「作家性」と企画の両立を考えれば不釣り合いである。
かといってキャリア初期のまだまだCF監督の大林宣彦となれば、大林監督自身「請け負い仕事」としての社会的な要請は飲み込んでの仕事だろうというのは察することができる。

ただ、それ故に。
どうしても一本の劇場用映画作品として、語るような言葉が見つからない。
それでも、この軽薄な恋愛映画自体の茶番劇を、人生や、男と女の関係そのもののバカバカしさになぞらえて観ることができなくもないところが、悪い意味でやるせない。
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