このレビューはネタバレを含みます
子は生まれる親を選べない。
ポープ夫妻は重傷者が出たテロをしたあげく逃げ回って、子供は逃亡の助けをせざるを得なくなる。
ダニーはなにも悪くないのに、両親が犯罪者なばかりに、2歳からずっと逃げ回る日々。ウソをつかざるをえなくて、引っ越しに引っ越して、だれにも本当のことは言えない。どれだけ辛かっただろうか。
両親がどこまでも自分勝手で、自分たちの都合で子どもを振り回して、救いようがないほど浅はかで、愚かだった。ダニーが彼らから解放されてよかったと思う。
ダニーにはどうか明るい未来が待っていますようにと、考えずにはいられない。
30年以上前の映画なのに、構造はいまに通ずるものがある。
それは抑圧からの解放だ。
ダニーは両親から自由を奪われ、愛を受けているけれども抑圧されている。本当のことを話すのは許されず、FBIの影がちらつくと、自由意志もなく逃げ回るしかない。ジュリアードに進学したいのに成績表も取り寄せられず、両親がダニーの明るい未来をふさいでくる。これが抑圧ではなくてなんだと言うのだろう。
だからこそ、ダニーがすべてから解放されたラストにこれほどのカタルシスを得られるのだと思う。
きっとだれにでも刺さるものがあるはずだ。