rage30

私の中のあなたのrage30のネタバレレビュー・内容・結末

私の中のあなた(2009年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

姉のドナーとして生まれてきた妹の話。

「難病の子供のドナーとして、新たに子供を産む」という設定からして驚かされたし、「生まれてきた子供がドナーとしての役目を拒否する」という物語も興味深かったですね。

家族なら助け合うのが当たり前…と思いつつも、自分がドナー目的で作られた事を知ったり、同意もなしに移植手術を進められたら、「自分は一体何の為に生まれてきたのだろう?」と疑問に思うのも無理はありません。
母親は母親で姉を救う事しか考えておらず、他の兄妹への気配りがまったく出来ていない事にもイライラさせられました。

ここから妹の成長物語が描かれるのかと思いきや、むしろ妹の出番は減り、姉の恋愛物語を中心とした、叙情的な描写が続きます。
最終的に妹の訴えは姉の指示だった事が分かるわけですが、これはこれで意外性があって面白かったですよ。
ただ、「ドナーとして生まれてきた子供」だったり、「臓器提供を拒否する葛藤」だったりと言った、掘り下げ甲斐のあるテーマが手付かずのまま終わってしまった事は残念でした。
シンプルに最後は妹が姉のドナーになる事を決める話にしても、良かったと思うんですけどね。

ちなみに、原作の方は映画版よりも、ドラマが盛り盛りな内容で驚かされました。
原作ファンは不満みたいですけど、流石に映画内で全部を描ききるのは無理だし、現実感のある落ち着いたラストで良かったんじゃないかな。
気になる人は、原作の方もチェックして見て下さい。
rage30

rage30