ナガノヤスユ記

銀座化粧のナガノヤスユ記のレビュー・感想・評価

銀座化粧(1951年製作の映画)
4.2
他人の世話を焼いている。それ自体が嫌なわけではない。しかし、身の回りの些末な政ばかりに時間をとられていく。何も持たない者はそうして生きていくしかないからだ。何も持たない者こそ政治にすがっている。この街のことはよく知っている。けれど、いつまでも窮屈で、所在がない。子どものように、自由に駆け回れたらいいのに。誰かへ向けた言葉が、空っぽの自分のなかに響く。そして、この街を知らない男がいる。自分の住む街を嫌いだと言う。私はこの街しか知らない。そうして男は、星がきれいだなどと言う…。
しぶとく生きていくんだという感性が強い。少し空虚な明るさみたいなものがある。ひとりで歩いていく。独立プロとしての新東宝。東京の映画。