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ユージュアル・サスペクツのLCのネタバレレビュー・内容・結末

ユージュアル・サスペクツ(1995年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

確かに面白かった。

面白かったんだけど、正直に記していいのなら、戸惑いの方が大きい。
何となく、こういうことかもなあ、と思ってたら、違う方向に舵を切りたいみたい?んー違和感あるけど、素直に流されてみる?と見続けて、それは伝わってたよ、それ以外の説明は…ないぽい?と首を傾げてクレジット画面突入。という感じで、私個人は、確かに今までの見せ方的にこう切るのは綺麗だ、という気持ちでいたり。
余韻はちゃんとあるし、この余韻が良いのだ、というのも肯定できる。

どうしても私は、それがどう行われたかより、それを行うに至った道のりが気になるらしい。どう成されたかにはあまり興味がないのもあるかもしれない。そこに興味がないから、度外視して見れてしまうものがある、かもしれない。知らんけど。
一貫して「独特な圧」を描写している瞬間と、その対比のように描かれる場面があったり。そういう、ひとつひとつ拾った先に得られた結末が、唐突に感じるというか。
どのようにそういう存在になったかの方に気が向いていて、どのように今の位置を確立していったのか、とっかかりやきっかけは何だったのか、というのが気になる人には、同じように感じられるかもしれない。

言い換えれば、これは見ている人がデフォルトで持つ「そのものに対する見方」を利用している気がする。それはつまり、その人自身に興味を持ったから深く知りたいというより、こういう人はこう、という、そういう、それ。
もちろんこの見方だけに頼らずに、丁寧にひとつひとつの場面を作っている。だからこそ、より「デフォルト装備された見方」を強化できているのかもしれない。

本作は本当に面白い。それは間違いない。誰も彼もを疑って、果たしてどのようにこんなことを実行したのか、つまり手口を知りたい。そういう人には、きちんと応えてくれる。これは疑う必要もない。
ただ、これは誰にとって得で、得を見えなくする魔法がこれで、と見ていると、またそれも素直に「手口はわからんが思考はこうかな」と感じられるものがある。本作はそこも丁寧かなと思う。
そこから、ではその魔法をその人はどのように発見したのかな、とか、使い方をどのように練習してきたかな、とか、そういうところに気が向く人には応えないことが多いかなと。

本作は字幕も好きだった。スマートと表現して伝わるものかわからないけど、ああ、今の言葉をそう訳すのは仕事人だなあ、とかって、わかりやすくそう感じられる場面がたくさんあったように思う。「掃除」とか。掃除をした後のそこは確かに、Beautifulかもなあ、とか。

本作、血は流れるものの、血がどのように流れるかの描写は「痛みを極力見ている人に与えない」凝り方で良い。そんなとこに意識を向かせる作品でもないし。諸々の耐性なさすぎ問題を抱える私でも大丈夫。これも突出した良い点。見れる人がそれだけ多くなる。

おまわりさんには、めげずに彼にとっての銭形警部的存在として駆け回るこれからの姿を想像したりして、それも楽しかった。
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