むぅ

蝶の舌のむぅのレビュー・感想・評価

蝶の舌(1999年製作の映画)
4.1
「本は我が家と同じだ。読めば心が豊かになり安らげる。凍え死ぬこともない」

噛みしめてしまった。

1936年の春 スペイン ガルシア地方。小さな田舎町に住む喘息持ちのモンチョと担任のグレゴリオ先生。2人の微笑ましい関係に影を落とすのは、1936年7月から1939年3月の第二共和政期のスペインで起こった内戦だった。

冒頭の言葉はグレゴリオ先生がモンチョに伝えたこと。
素敵だった。

師と仰ぐ人って誰だろうと考えてみると、幼い頃は"理由を教えてくれた人"、大人になってからは"理由に気付かせてくれた人"の顔が浮かぶ。どちらも、私が理解するまで待ってくれる辛抱強さのある人だったように思う。
そして対等に接してくれる方々だった。
それと同時に自分の中で糧になっている、何冊かの大切な本も思い出す。

グレゴリオ先生みたいな人と出会いたかったな、とちょっと思う。
でもこれから出会う方法はあるのだ、とレビューを書いていて思う。自分がそうなればよいのだ。

胸が張り裂けそうになるラストシーン。いつか、モンチョが大人になった時、もしくは内戦が終わった時、モンチョが自分の行動をどう思うのかと思うと辛い。

誰かの"グレゴリオ先生"になるために、自分自身の中に"グレゴリオ先生"にいてもらうために。
ちゃんと"大人"であるために。
最近サボっていた読書から始めようかな、と思った。
むぅ

むぅ