ひらさま

北京の55日のひらさまのレビュー・感想・評価

北京の55日(1963年製作の映画)
3.5
古き良き時代のハリウッド大作主義、終焉間際の一作
20世紀初頭、義和団の攻勢により北京の居留地に55日間に渡り立て籠った外国人たちを巡る史実の映画化…らしい
とにかく圧倒されるのは豪華絢爛なセットの凄さ 
今ならCGで再現しちゃうんでしょうが、当時は実際に造っていたから驚き
ロケ地はスペイン、中国人エキストラを集めるのに大変苦労したらしく、とにかく中国人であれば素人であっても引っ張りまくった結果、店員を取られたチャイニーズ系のレストランは撮影期間中ほとんど閉店していたとゆー逸話あり
プロデューサーのサミュエル・ブロンストンは「エル・シド」や「キングオブキングス」といった超大作を続々と排出していたが、本作以降大作主義は影を潜め、やがて破産とゆー結末を迎える
ただ、ブロンストンの製作姿勢は映画人としての誇りを感じるレベルで、個人的には夢を追いかけ続ける事にある種の意義を感じる
よって圧倒的なセットを見れるだけでも本作の価値はあると思う
お話はつまらないですけどね(笑)
気分屋へストンには何となく好意が沸かないし、失礼ながら盛りを過ぎたエヴァ・ガードナーを無理やりヒロインに仕立ててるのも疑問
どーしてもメロドラマっぽい筋立を入れたいらしく、それも確かにハリウッドながら邪魔だよね!
戦闘シーンはなかなか暴力的で派手、演出はこの手の大作のモブシーンではお馴染みのアンドリュー・マートン
日本人としてはへストンやデビッド・ニブンと並んでも見劣りしない存在感を発揮した伊丹十三に拍手、もう少し出番が欲しかった